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The Model とは? 導入で失敗しないコツや事例を解説

2024年06月26日

  • Salesforce
  • MA
  • マーケ知識

はじめに
近年、インターネットの普及により、購入前に商品・サービスを検索するなど、顧客主導のビジネス環境に変わりました。従来の営業組織での対応が難しい中、注目を集めているものが、The Model型の営業組織です。本記事は、企業の営業・経営担当者に向けて、The Modelのメリットや問題点、導入のコツ、導入事例を解説します。

 

The Modelとは?

「The Model」とは、アメリカに本社があるセールスフォース・ジャパンで実践されてきた、営業プロセスモデルです。営業プロセスの分業化や部門間の連携により、顧客満足度の向上を図り、営業効率の最大化や売上増大を目指します。

 

The Modelは、市場における認知拡大からリード獲得・育成、アポイント、訪問、商談、顧客サポートまでタスクを分業化しており、この仕組みは「レベニューモデル」と呼ばれます。レベニューモデルを構成するのは、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4部門です。

 

マーケティング

マーケティングは、潜在顧客から見込客(リード)を獲得する集客を行います。従来のマーケティングでは商談の設定まで進めていましたが、近年は営業と接点をもつ前に、顧客は基本的な情報収集を終えていることがほとんどです。

そのため、情報収集の段階から、マーケティング施策によるアプローチが求められます。

 

潜在顧客には広告やイベント、キャンペーンなどで認知拡大し、興味・関心を持たせた後、セミナーや展示会などの開催を経て、メールアドレスなどの連絡先情報を収集します。

一方、獲得した見込客には、メルマガでの情報提供やクーポンなどの配布による、商品・サービスへの関心を高める育成が重要です。

 

インサイドセールス

インサイドセールスは、見込客を育成し営業案件の発掘を行います。または、マーケティング部門で購入を期待できる有望な見込客を抽出し、インサイドセールス部門で個別に営業活動を行う場合もあります。

 

MA(マーケティングオートメーション)の導入により、見込客をフォローする優先順位やタイミング設定を自動化した上で、情報に基づいたメールや電話でのセールスが可能です。見込客のニーズを定期的に掘り起こせば、リード獲得のコストを抑えられます。

 

フィールドセールス

フィールドセールスは、顧客先への訪問やオンライン上での商談を行いクロージングまで担当します。

インサイドセールスから提供された情報により、顧客のニーズに合わせ、具体的な商品・サービスを提案します。

 

商談のプロセス管理のシステム化は、売上予測の精度を向上させるほか、業務の停滞や生産性低下の要因を抽出することで、属人的な営業からの脱却が可能です。

 

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、顧客が購入した商品・サービスを最大限に活用できるように支援し、契約の継続を担当します。近年は、サブスクリプションモデルやSaaSの普及により、顧客へのサービスの充実が売上増大のカギとなります。具体的には導入支援やトレーニング、コンサル、関連製品・サービスの提案などです。

顧客満足度を高めながら、クロスセル・アップセルを担当することもあるため、フィールドセールスとの連携が欠かせません。

 

The Modelのフレームワークに当てはめて、Salesforceのシステムを使用することで、効率的に営業活動を管理できます。SalesforceでThe Modelを活用する方法についてはこちら(SalesforceでThe Modelを活用する方法は? メリットや注意点も解説)を参照ください。

 

なぜ近年The Model型の営業組織が注目されているのか?

近年、営業の現場でThe Modelが注目されている理由として、「消費者の購買プロセスの変化」「サブスクリプションやSaaSビジネスの拡大」「CRMやSFAなどの営業支援ツールの普及」の3つが挙げられます。総務省の調査によると、ECサイトやECモール、検索エンジン、価格比較サイトなど、消費者が検索して購入するスタイルが上位を占めています。

 

サブスクリプションやSaaSビジネスは、インフラを構築して、商品購入後も収益を上げていくビジネスモデルです。サービス契約後の継続的なフォローが必要なため、多くの企業で営業プロセスの見直しが行われました。

 

さらに、日常的に営業支援ツールを使用している企業が増えたことから、営業プロセスを細分化し、各部門同士の連携をスムーズに行える点も、The Model型営業組織に注目を集める理由のひとつです。

 

出典元:総務省「平成23年版 情報通信白書 購買プロセスの変化

 

従来の営業組織との違い

従来の営業組織は、案件ごとに1人の営業担当者が見込客の獲得から成約、顧客サポートまで、すべての営業プロセスに対応する形が一般的でした。それは成約率を高めるために、顧客をよく知る担当者が最初から最後まで一貫して、丁寧に対応する方が効率的だと見られていたためです。

しかし、営業組織全体でノルマを掲げ、目標を達成するには、新規開拓数の増加が必要です。その場合、担当者の負担が大きくなり、営業が非効率になってしまいます。担当者が1人だけでは、営業プロセスのどの部分を改善すればよいのか分析を行いづらい、分析を行ったが改善まで手が回らないといった問題も起こりがちです。

 

The Modelの営業組織は、営業プロセスを4段階(マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス)に細分化・可視化し、それぞれにKPI(重要業績評価指数)を設定できます。各プロセスにおける数値目標が明確になり、営業プロセスの改善が可能です。

 

The Model型の営業組織のメリット

The Model型の営業組織のメリットについては、以下の通りです。

 

各部門の専門性を高められる

4段階の各部門担当者は業務に集中できるため、専門性が向上し、担当者の負担軽減と業務効率化が実現します。

また、各部門担当者の適材適所な人材配置により、パフォーマンスが向上し、プロフェッショナルな仕事が可能です。その結果、多くの顧客獲得や売上増大につながります。

 

営業プロセスの中の弱点が見える

1人で行う営業活動では見えない弱点が、複数人で行うことで明らかになり、把握しやすくなります。各部門にKPIを設定することで、どこに問題があるのかを数値で可視化できます。営業プロセスを組織全体で共有できるため、PDCAのスピードが上がり、速やかな改善が可能です。

 

担当者の入れ替わりに対応しやすい

共通のルールが定められるため、営業担当者がそのルールに沿って行動できるようになり、担当者が途中で入れ替わっても、引き継ぎをスムーズに行えます。属人的な営業がなくなるため、人材が入れ替わるタイミングで、組織全体の営業力が落ちる心配もありません。誰もが正しい顧客アプローチが取れれば、営業プロセスの再現性も高まります。

 

失注の掘り起こしを可視化できる

見込客のうち、購入に至らなかった人を可視化し、数値で把握できます。失注を掘り起こし、顧客を理解することで、状況に合わせた最適なアプローチが可能です。マーケティングやインサイドセールスなどで長期的なフォローやアプローチの継続により、新規案件につながる可能性もあります。

 

The Model型の営業組織の問題点

The Model型の営業組織の問題点については、以下の通りです。

 

顧客と接点のない営業が増える

分業化の進行により、カスタマーサクセスの役割を経験していない営業担当者は、顧客サービスの視点をもつことが難しくなる可能性があります。

他部門の担当者も、カスタマーサクセスの視点をすぐに体得するのは困難といえるでしょう。

 

顧客との接点がない部門では、KPIの目標達成に集中するあまり、顧客体験がおろそかになる場合があります。

効果的な営業とカスタマーサクセスの連携を実現するためには、全社的に最適なオペレーションの構築と、営業とカスタマーサクセスの両視点をもった営業体制の整備が必要です。

 

体制構築にコストがかかる

The Modelを導入するには、営業プロセスを分業化し、体制を整えた部門の立ち上げが必要です。

この場合、インサイドセールス部門やカスタマーサクセス部門を立ち上げるケースが多いです。各部門との連携を目的に、見込客やKPIを管理するツール(MAやSFA、CRMなど)の導入も必要になるため、稼働コストがかかります。

 

The Model型組織の導入で失敗しないためのコツ

以下より、営業組織にThe Model型を導入する際の失敗しないコツについて解説します。

 

各部門でKPIを数値化する

部門ごとに目の前のKPIを追っていると、受注や長期的な契約につながらないおそれがあります。

したがって、各部門のKPIを全体で共有することが重要です。自分のチームの利益を考えつつ、他部門のKPIを意識する、互いに進捗状況をフィードバックするなどで、営業プロセスの効率化を目指せます。

 

段階ごとにKPIを数値化し、ルールを明確化する

The Modelは、前段階でのゴール数値が次の段階の母数になる仕組みで、すべての数値が連鎖しています。

つまり、成果を出さないと、負の連鎖に陥りかねません。負の連鎖を起こさないためには、段階ごとにKPIを明確にした上で責任範囲を定め、全体での進捗状況の共有が必要です。

 

数値のブレをなくすには主観で判断しないことが重要ですが、それが困難な場合もあります。たとえば、インサイドセールスのヒアリング内容を通じて見込客の成約可能性を評価する場合、ある程度主観が入ることは避けられません。

このような場合には、定量的・定性的な基準をフィールドセールスの状況に応じて調整し、中長期にわたる数値の変動を捉えることで、より客観的な傾向を明らかにできます。

また、次の営業プロセスに進むための条件を全体で共有するには、数値化だけではなく、具体的な言語で表現したルールに基づき、全員が共通の認識をもつことも効果的です。

 

CRMやMA、SFAを有効活用する

The Modelを効果的に運用するには、部門ごとの顧客情報を共有しつつ、目標の進捗を一元的に管理・共有する必要があります。

そのためには、MAやCRM(顧客関係管理システム)、SFA(営業支援システム)などのツールの活用がオススメです。リアルタイムで状況を把握し、現状分析や課題の特定、各部門間のコミュニケーションツールとしても役立ちます。

 

自社に最適な活用パターンを見つける

The Modelの一般的なパターンは、4部門(マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス)を設けることですが、企業によって最適なパターンは異なります。The Modelを導入する目的は、効率的に自社の利益を生み出し、事業を拡大することです。そのためには、自社の顧客行動に合った体制作りが求められます。その後、課題を解決できる活用パターンを見つけましょう。

 

The Model型を導入した組織の事例

以下より、The Model型の仕組みを取り入れて成功している導入企業の事例を紹介します。

 

通信大手A社

クラウド上で名刺管理サービスを提供している通信大手A社は、事業が急激に成長し、それにともない、営業スタッフも急増しました。

再現性のある営業体制の構築が必要だったことから、The Modelの仕組みを導入し、営業プロセスの分業制に移行しました。

 

各部門で明確なKPIを提示し、営業成果を最大化するための分析・検証を繰り返した結果、営業スタッフの増減にかかわらず、見込客を約3倍に増やすことに成功しています。

 

金融大手B社

多角的金融サービスを展開している金融大手B社は、以前からインサイドセールスを採用していました。

しかし、従業員1人あたりの担当顧客数が600~700社と多く、丁寧な顧客対応を行えないという問題を抱えていました。

 

The Modelの分業体制を導入により、顧客管理を細分化し、各部門の役割と責任を明確化します。SFAも導入してデータの蓄積と分析を行い、MAツールで見込客の育成と、優先度をつけたインサイドセールスのアプローチにより、業務効率化と成約率アップに成功しました。見込客は6万社から26万社へと、4倍以上に増えています。

 

メーカー大手C社

全国に販売拠点をもつメーカー大手C社は、拠点での成功体験やノウハウが営業担当に集まらないという課題がありました。顧客に有益な情報を探す術がなく、価値ある情報が届けられない状態でした。

 

The ModelとSFAを導入したことで、各営業所や部門間で既存顧客の情報をタイムリーに共有しはじめます。課題解決に必要な成功体験やノウハウが集まるようになり、営業の提案力が向上しました。また、同じ悩みや課題を抱える従業員同士が助け合える組織に変わっています。

 

まとめ
「The Model」は、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4部門による分業化と連携を通じて、顧客満足度の向上と営業効率の最大化を実現します。本記事では、The ModelのフレームワークをSalesforceのシステムで実践できることをお伝えしました。

また、The Model型の営業体制を導入する際の注意点やメリットをお伝えしました。自社だけでのSalesforce導入が難しい場合、セラクCCCのサポートサービスがオススメです。

 

セラクCCCはSalesforce定着・活用支援トップクラスの公式コンサルティングパートナーとして、全国400社(2023年5月時点)を超える実績と300名(2024年6月時点)を超える専門コンサルタントが在籍しており、内製化支援をはじめ複合的なクラウド活用のご提案が可能です。Salesforceの定着・活用支援や運用支援、トレーニングサービス、常駐・リモート支援など、さまざまな課題に対応できるサポート体制があります。Salesforceでのお困りごとがありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談から、ぜひお問い合わせください。

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