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LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法や向上させる施策を紹介

2024年10月22日

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はじめに

LTVは、現代のビジネス戦略において非常に重要であり、企業が顧客との長期的な関係を築くために理解する必要がある指標です。本記事では、LTVの基本概念や計算方法、関連する指標、具体的なLTV向上施策について詳しく解説します。

 

LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTV(ライフタイムバリュー)とは
<LTVのイメージ画像>

 

LTV は「Life Time Value」の略で、「顧客生涯価値」と訳されます。これは、顧客が取引終了までに企業にもたらす総利益を表す指標です。顧客が一度きりの購入に留まらず、長期間にわたって繰り返し購入を続けることで、LTVは高くなります。
LTVは、企業が顧客の維持に注力する理由を明確にし、マーケティング戦略の効果を評価するための重要な指標です。LTVを高めることで、企業は既存顧客からの収益を最大化し、長期的な成長を実現することが可能です。

 

LTVが注目を集める背景

なぜLTVがマーケティングにおいて重要視されているのでしょうか。ここでは、その背景について解説します。

 

新規顧客獲得コストの高騰

新規顧客獲得コストは、既存顧客の維持コストに対して5倍かかると考えられています。この考え方は、1:5の法則と呼ばれています。それに加え、人口減少による市場の飽和状態や競争の激化、物価高騰による購買力低下、広告費用の上昇、競合他社の増加など、さまざまな要因により新規顧客獲得コストが年々高騰しています。このため、近年では新規顧客の獲得よりも、既存顧客の維持がますます重視されるようになりました。LTVをマーケティング指標として取り入れ、長期間にわたって安定した収益をもたらす高いLTVをもつ顧客を、どのように維持するかが重要となっています。

 

サブスクリプションサービスの普及

近年、月額や年額の定額料金を支払い、商品やサービスを一定期間利用するサブスクリプションサービスが広く定着しました。 サブスクリプションサービスでは、顧客が継続的にサービスを利用することで安定した収益が得られるため、顧客の長期契約を促進し、解約を防ぐことが求められます。そこで、指標としてのLTVの重要性が増してきています。

 

One to Oneマーケティングの主流化

従来は、テレビCMや新聞広告のように、多くの人に画一的にメッセージを送るマスマーケティングが主流でした。しかし、現代では顧客一人ひとりにあわせたOne to Oneマーケティングが台頭しています。この変化の背景には、消費者ニーズの多様化やデジタル化の進展があり、個人の嗜好や行動をより収集しやすく、分析しやすくなったことが挙げられます。
One to Oneマーケティングにおいて重要なのは、顧客に対して個別に適したアプローチを維持し、顧客ロイヤルティ(顧客が特定のブランドやサービスに対して感じる信頼や愛着の度合いのこと)を高めることです。顧客ロイヤルティを高めることは、企業にとって重要な利益となり、その指標としてLTVが注目されるようになっています。

 

3rd Party Cookieへの規制強化

訪れているWebサイトとは異なる第三者(3rd Party)から発行されるクッキー(Cookie)が、3rd Party Cookieです。従来3rd Party Cookieは、広告主や企業が顧客の行動データを収集し、ターゲティング広告を効果的に展開するための技術でした。しかし、プライバシー保護の観点から、多くのブラウザやプラットフォームが3rd Party Cookieの使用を制限、または廃止する方向に向かっています。この規制により、ターゲティング広告の有効性が低下し、新規顧客の獲得がさらに困難になりました。そのため、顧客のLTVをより重視し、それに基づいたマーケティング構築が求められています。

 

LTVの計算方法

LTVの計算方法は、扱う商品や考慮する要素によって異なります。基本的な計算式は以下の通りです。

 

LTV = 平均購買単価 × 収益率 × 顧客の購入頻度 × 継続して購入している期間

 

この基本的な計算式は、顧客が企業にどれだけの価値をもたらすかを簡単に把握するためのものです。たとえば、ある顧客が特定の企業から年間3回商品を購入し、平均購買単価が1万円、収益率が20%、継続して購入している期間が5年であれば、その顧客のLTVは次のように計算されます。

 

LTV = 1万円 × 0.2 × 3回 × 5年 = 3万円

 

さらに、コスト面も考慮したLTVの計算式も重要です。たとえば、新規顧客を獲得した際にかかったコスト(CAC)や、既存の顧客の維持にかかったコストを引いたLTVを算出することで、より現実的な顧客価値を評価できます。計算式は以下の通りです。

 

コストを考慮したLTV = 平均購買単価 × 収益率 × 顧客の購入頻度 × 継続して購入している期間 −(新規顧客を獲得した際にかかったコスト + 既存顧客の維持にかかったコスト)

 

たとえば、先ほどの例で、顧客獲得に際しかかったコストが1万円、既存顧客の維持にかかったコストが5,000円であれば、コストを考慮したLTVは次のようになります。

 

コストを考慮したLTV = 3万円 −(1万円 + 5,000円)= 1万5,000円

 

このようにLTVを算出することで、顧客の長期的な価値を理解し、マーケティング戦略の最適化に役立ちます。

 

LTVの向上に欠かせない5つの指標

以下の5つの指標を理解することで、LTVをより活用できます。

 

ARPU・ARPA(ユーザ・アカウント単位の平均売上)

ARPUは「Average Revenue Per User」の略で、ユーザ1人あたりの平均売上金額を示す指標です。計算式は以下の通りです。

 

ARPU = 合計売上 ÷ ユーザ数

 

たとえば、あるサービスの合計売上が100万円で、ユーザ数が500人の場合、ARPUは以下のように計算されます。

 

ARPU = 100万円 ÷ 500人 = 2,000円

 

これに対して、ARPAは「Average Revenue Per Account」の略で、1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標です。計算式は以下の通りです。

 

ARPA = 合計売上 ÷ 登録アカウント数

 

たとえば、同じく合計売上が100万円で、登録アカウント数が250の場合、ARPAは以下のように計算されます。

 

ARPA = 100万円 ÷ 250アカウント = 4,000円

 

ARPAとARPUは、LTVの算出に必要な平均購買単価と関連があります。これらの指標を向上させることで、1人あたりの顧客から得られる収益を増やし、LTVを高められます。

 

ARPUとARPAの違いは、計算に用いる分母が異なる点です。ARPUがユーザ数を基準とするのに対し、ARPAはアカウント数を基準とします。これにより、複数のユーザがひとつのアカウントを共有する場合や1人のユーザが複数のアカウントをもつ場合など、異なる視点から売上を分析できます。
たとえば、家族でひとつのアカウントを共有している場合、ユーザ数よりアカウント数が少なくなり、ARPAの値が高くなる傾向があります。一方、1人のユーザが複数のアカウントをもっている場合、アカウント数よりユーザ数が少なくなり、ARPUの値が高くなります。このように、ARPUとARPAのどちらを重視するかで、マーケティング戦略が異なります。

 

CAC(顧客獲得単価)

CACは「Customer Acquisition Cost」の略で、新規顧客を獲得するためにかかる平均コストを示す指標です。計算式は以下の通りです。

 

CAC = 顧客獲得にかかった総費用 ÷ 新規顧客数

 

顧客獲得にかかった総費用とは、広告費、人件費、キャンペーン費用など、顧客を獲得するために直接関連するすべてのコストです。たとえば、100人の新規顧客を獲得するのにかかった総費用が50万円だとすると、CACは以下のように計算されます。

 

CAC = 50万円 ÷ 100人 = 5,000円

 

上述したように、コストを考慮したLTVを計算する際にCACは関連があり、CACを抑えることでLTVが向上します。また、後述するユニットエコノミクスの指標の計算にも用いられます。

 

MQL・SQL(購買意欲が高い見込み顧客)

MQLは「Marketing Qualified Lead」の略で、マーケティング活動によって生成され、有力な見込み顧客を示す指標です。マーケティング活動の代表例としては、メルマガの配信やウェビナーの開催が挙げられます。 一方、SQLは「Sales Qualified Lead」の略で、営業活動によって生成され、具体的な購買意欲があると判断された有力顧客を示す指標です。製品の購入相談の希望や見積もりの提示を求める顧客で、「引き合い」とも呼ばれます。
MQLとSQLは互いに関連があり、たとえば「メルマガを購読しているうちに購買意欲が湧き、見積もりを求める」というようなケースがあります。MQLとSQLを適切に管理・運用することで、LTVの高い顧客の早期発見が可能です。

 

ユニットエコノミクス(1顧客あたりの利益)

ユニットエコノミクスは、顧客獲得のために投入したコストと、獲得した顧客から得られる利益のバランスを見る指標です。とくにサブスクリプションサービスにおいて使用され、企業の健全性を評価するために重要です。ユニットエコノミクスは以下の計算式で求められます。

 

ユニットエコノミクス = LTV / CAC

 

たとえば、LTVが2万円で、CACが5,000円の場合、ユニットエコノミクスは4となります。商品によって異なるものの、この指標が3以上であることが、健全なビジネスモデルであることの目安となっています。
ユニットエコノミクスの向上は、顧客獲得効率と収益性を同時に向上させることを意味します。すなわち、LTVを高めると同時に、CACの低減が必要です。

 

チャーンレート(一定の期間における解約率)

チャーンレートは、企業が一定期間内に失った顧客の割合を示す指標であり、一般的には解約率として知られています。チャーンレートには、顧客数に基づく「カスタマーチャーンレート」と、収益に基づく「レベニューチャーンレート」の2種類があります。
また、チャーンレートとは反対に、顧客の維持率を示す指標が「リテンションレート」です。チャーンレートとリテンションレートは、企業が顧客をどれだけ維持できるかを評価する重要な指標であり、チャーンレートの低減は顧客生涯価値LTVの向上につながります。

 

LTVを向上させるための具体的な施策

LTVの計算式で用いられる「平均購買単価」「収益率」「顧客の購入頻度」「継続期間」を向上させることで、LTVが向上します。また、CACやチャーンレートの低下も重要です。その具体的な施策について解説します。

 

購買単価を上げる

顧客が支払う単価を増やすことで、LTVの向上が可能です。ただし、サービスや商品の単純な値上げは、顧客離れを招く可能性があります。そこで、より高価なオプションやハイグレード版を提供する「アップセル」という手法や、顧客がすでに購入した商品に関連するほかの商品やサービスをあわせて購入してもらう「クロスセル」といった手法が有効です。

 

購入頻度を上げる

具体的な施策として、買い替えや新商品PRのタイミングで、顧客に商品を思い出してもらう工夫が必要です。また、リマインダーメールや定期的なプロモーション活動も重要です。これらの施策に加えて、定期的なメルマガの配信やSNSでの積極的な情報発信、さらにウェビナーの活用が挙げられます。顧客が再度購入を考えるきっかけを作ることで、LTVの向上が見込めます。

 

契約期間を延ばす

契約期間の満了は顧客が離れるきっかけとなるため、契約期間を延ばすための工夫が求められます。長期契約割引や特典の提供、継続利用を促すキャンペーンを実施して、顧客がサービスや商品に長く留まるようにします。

 

チャーンレート低下を目指す

チャーンレートを低下させるためには、顧客満足度の向上が必要です。商品やサービスの品質向上、顧客サポートの充実、フィードバックの収集と改善などを通じて、長期間にわたって顧客に愛される企業を目指すことが重要です。

 

コスト節約をする

顧客獲得や維持にかかるコストを削減するためには、MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)の導入が有効です。これらのツールを活用することで、効率的な顧客管理が可能となり、コストを削減しつつLTV向上が図れます。
LTVを高めるには、購買単価・収益率・購入頻度・継続期間の向上を図りつつ、CACやチャーンレートを低下させることが重要です。今回ご紹介した施策を踏まえ、ぜひ自社のマーケティング戦略に取り入れてみてください。

 

まとめ

LTVは企業の収益性を評価し、顧客関係の重要性を示す指標のため、マーケティング戦略において不可欠です。顧客情報の管理やマーケティング促進には、Salesforceが提供するMAやCRMの活用も推奨されます。

セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert 認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のマーケティングをサポートします。ぜひ、お気軽にご相談ください
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