コラム詳細
はじめに
Salesforceを導入する企業が増える中、情報の可視化に課題を抱える企業は多くあります。経営者は、Salesforce導入の一つの理由として、現場が入力したデータを可視化し、「データに基づいた経営判断」に繋げたいという思いがあったはずです。しかし実際は、期待したデータは一向に上がってこないうえ、現場からは入力業務に疲弊しているという声まで聞こえてきます。導入時に抱いていた期待とのギャップに、経営者としては「なぜ?」と思われるのではないでしょうか。
また、こちらの資料「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」と併せてご活用ください。
経営者からすると、Salesforce導入によってこれまで点在していた顧客情報を一元化することで、経営判断に活用したいと思われるはずです。実際に現場ではせっせとSalesforceに情報を入力しているように見えるのに、なぜか自分が思っているデータは上がってこないことを疑問に思われているケースは少なくありません。ここでは、こうした状況を生む良くある原因を二つご紹介します。
よくある原因の一つが、Salesforce導入前の運用やツールからスムーズにシフトすることができず、やむを得ず従来の方法を続けてしまうケースです。どのようなシステムを導入してもそうですが、改善するばかりではなく、改悪と感じる部分は必ず発生します。例えば、従来のツールから見た目や操作感があまりにも違うことや、従来出来ていたことが出来なくなることに対して抵抗感を覚えるユーザは一定数います。他にも、Salesforceの良さである一元管理も、裏を返せば設定や運用変更時には、自分のチーム以外の部署にも事前共有や確認が必要になることで、煩わしさを感じることもあるでしょう。改悪と感じるポイントや度合いは様々ですが、こうした課題を解決しないまま導入を進めると、従来の方法との二重管理がやめられず、業務が純増してしまいます。
もう一つの原因としてよく聞かれるのは、最初から登録項目を多く作りすぎているケースです。データ分析をするために、より多くのデータを取り込みたいと思うことはごく自然なことです。とくにデータの可視化を実感できない経営者は現場に入力項目を増やすよう指示しがちです。しかし、多くの情報を登録するということはそれだけ入力作業量が増えるため、業務負荷がかかります。これにより本来の営業活動の時間を削ることになるとすれば、もはや本末転倒です。
通常、導入作業については現場に一任するケースが多く見られます。それ自体は悪いことではありませんが、経営者が考えていた導入の目的を現場に十分伝えないまま進めると、登録する情報の選定が現場判断になってしまいます。この結果、経営者の欲しいデータや必要な情報が見られないという現象に繋がります。
適切にSalesforceへデータを蓄積出来ているにも関わらず、活用しきれていないケースもあります。例えば、Salesforceで加工可能なデータであるにも関わらず、都度データを抽出して他のツールで加工していた、というケースです。Salesforceのレポート機能を使うと、すぐに最新データで情報確認が可能になり、迅速な判断を行えます。またダッシュボード機能を活用すれば、そのレポートを基にしたグラフを簡単に作成できるため、資料作成にかけていた時間の削減にもなります。こうした機能を標準的に活用できることを理解していないと、いちいち情報を出力してExcelなどの外部ツールで加工しなければなりません。時間も手間もかかる話ですが、実際によく発生している課題のひとつです。
それでは、データ活用や情報の可視化はどのようにすれば実現できるのでしょうか。
新しいシステムを導入することに対する抵抗感は、それを凌駕するほどのメリットを現場ユーザに感じてもらうことが大切です。例えば、従来の方法との二重管理を無くすためには、社内研修や勉強会などを開催して「なぜ導入するのか」「導入することによってどのようなメリットがあるのか」ということをしっかりと組織内で共有し、新しいシステムを使うことへのハードルを下げましょう。自社開催が難しい場合は、Salesforceで行われているトレーニングセミナーなどを活用する方法もあります。運用上、完全に二重管理を止めることが出来ない場合は、極力重複作業が発生しない工夫をしましょう。また、それでも定着が進まない場合は、Salesforceを活用しなければ業務を進めることができないフローへと変更することもおすすめです。
せっかくSalesforceを導入するからと、最初から持っている情報の全てを入力する必要があるのかというとそうではありません。むしろ最初は、スモールスタートを心がけましょう。入力項目を必須なものに絞り込み、運用が定着してから足りない情報を追加入力するようにします。また規則性や条件性のある項目の場合は、Salesforceの設定によって自動的に項目へ反映させることが可能です。情報の精査とSalesforceの機能を活用して、データの蓄積を進めましょう。
経営者が必要な情報を得られないという問題が、本来必要なデータを入力することで解決すると、今度はそのデータを可視化する方法を知る必要があります。Salesforceのレポートやダッシュボードを活用して、スピーディ且つ視覚的なデータ把握を目指しましょう。確認すべき項目や、期間、各種目標への達成状況などが確認できるようになれば、導入時描いていた「データに基づいた経営判断」の実施は目前です。
Salesforceでは他のアプリケーションとの連携をAppExchangeにて推奨しています。データの可視化に特化したもの、見積書などの帳票作成が可能なものなど、多くのアプリケーションが紹介されています。価格も有償・無償とありますので、アプリインストール実績やレビューを基に、自社にあわせたツールを検討してみてはいかがでしょうか。
例えば、データの可視化には「Tableau」というBIツールを検討してみるのはどうでしょうか。Tableauは、専門的な知識がなくても、マウスの操作だけであらゆる角度から素早くデータのレポートを作成、分析を行えます。それに加えて操作性や表現の美しさに特化しているため、必要なデータをより美しく、より理解しやすい形で抽出することができます。
Salesforceの円滑な運用を推進したいが、自社で行う事が難しいと思われる場合、外部のITベンダ企業を頼ることを視野に入れてはいかがでしょうか。企業によりサービス内容は異なりますが、Salesforceの開発だけではなく、運用定着に向けたコンサルや、管理者として活用を支援している企業があります。
因みに、当社セラクCCCは開発から運用定着までのコンサル、管理者としての活用支援、そして既にSalesforceを導入されている企業様への対応を行っていますので、お気軽に無料相談から問い合わせください。
この記事ではSalesforceを運用する上で起きてしまう入力業務の増加や、それにも関わらず経営者が必要な情報を確認できないといった点について取り上げました。経営者は必要な情報が見られず、現場へ入力を指示しがちとなり、現場は更に入力項目が増えるという悪循環が起きてしまいます。そんな悪循環を断ち、導入時に描いていた「データに基づいた経営判断」をするために、今一度Salesforce導入によるメリットの共有、登録すべき情報の精査を行いましょう。
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