コラム詳細

Salesforce主従関係・参照関係とは? 作成・設定方法や注意点を解説

2023年09月01日

  • Salesforce
  • 定着・活用
  • 設定・管理

はじめに

セラクCCCのSalesforce推進部のNです。Salesforce初心者が悩むポイントの1つが、オブジェクトリレーションです。この記事では、よく使うオブジェクトリレーションの1つである主従関係・参照関係について、設定手順をわかりやすく解説します。また、主従関係で使える便利な「積み上げ集計」の手順もあわせて紹介します。

 
また、Salesforceの活用について解説しているこちらの資料「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」もご興味があればご活用ください。

 

Salesforceのオブジェクトリレーションとは?

主従関係と参照関係について解説する前に、オブジェクトとオブジェクトリレーションについて簡単に紹介します。

 

Salesforceのオブジェクトとはフォルダのようなもの

<オブジェクトのイメージ>

 

Salesforceでは、リードや取引先、取引先責任者、商談などのグループごとに情報を管理しています。このグループごとの情報の集合をオブジェクトといいます。オブジェクトとはパソコンにおけるフォルダのようなもので、中に多くの情報を格納しています。
たとえば、「オブジェクト:取引先」の中には企業A、企業B…企業Zというように、複数の企業ごとの情報があります。また、Salesforceでは、企業Aや企業Bなど、1企業の情報を1件のレコードと呼びます。

 

※オブジェクトについて解説しているこちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」と併せてご活用ください。

 

オブジェクトリレーションとはオブジェクト同士をつなげること

<オブジェクトリレーションのイメージ>

 

オブジェクトリレーションとは、異なるオブジェクト同士を紐づけることです。「オブジェクト:取引先」と「オブジェクト:取引先責任者」の2つがあった場合、オブジェクトリレーションで紐づけると、「取引先責任者」のレコードを見る際に、所属する取引先のデータを参照できます。Salesforceでは、オブジェクトリレーションを活用することで、必要な情報をすぐに取り出せるようになります。
なお、Salesforceで利用できるオブジェクトリレーションには、以下があります。

 

  • ①主従関係
  • ②参照関係
  • ③外部参照関係
  • ④間接参照関係
  • ⑤階層関係
  • ⑥多対多関係

 

次に、使用率の高いオブジェクトリレーションである参照関係と主従関係について解説します。

 

主従関係と参照関係について

主従関係とは、オブジェクト同士の結びつきが強いリレーションです。主レコードが消去された場合、従レコードは連動して削除されます。また、従レコードの所有権・共有権利は個別に決定できず、主レコードと連動します。
一方、参照関係とは、主従関係と比べてオブジェクト同士の結びつきが弱いリレーションです。なお、取引先と取引先責任者、商品と商談など、ユーザが設定する前から参照関係が設定されているオブジェクトもあります。

 

Salesforceの主従関係・参照関係の違いと使い分けは?

主従関係と参照関係にはいくつも違いがありますが、その中でも、大きく用途に影響を与えるポイントが2つあります。
1つ目は、リレーション数の制限です。オブジェクト1つに対して主従関係は2つまでしか設定できませんが、参照関係はいくつも設定できます。

 

2つ目は、主従関係では積み上げ集計を使用できることです。積み上げ集計について、詳しくはのちほど紹介します。

 

それでは、主従関係と参照関係はどのように使い分ければよいのでしょうか。積み上げ集計を使いたい場合や、レコードの消去などの管理を一括で行いたい場合などは主従関係の使用が適しているといえるでしょう。参照関係は、主従関係に比べて設定の制限が緩く、使いやすいリレーションのため、基本は参照関係を使うことをオススメします。

 

Salesforceの主従関係・参照関係の作成や設定方法

実際に主従関係と参照関係を作成してみましょう。主従関係と参照関係の作成手順は、2で紹介する[データ型]の選択以外には大きな違いがないため、まとめて紹介します。

 

1. 新規リレーションの作成


<新規リレーションの作成>

 

Salesforceにログインをした後に、リレーションを作成したいオブジェクトに移動します。主従関係を作成する場合には、従にしたいオブジェクトで設定を行います。画面右上の[オブジェクトを編集]を選択します。

<項目とリレーションの選択>

 

オブジェクトマネージャーが開くので、[項目とリレーション]を選択し、[新規]を選びます。

 

2. リレーション種別の設定


<リレーション種別の設定>

 

次に、[データ型]を主従関係または参照関係にします。
リレーション種別による操作手順の違いはここだけです。

 

3. 関連オブジェクトの選択と各種名称の設定


<関連オブジェクトの選択>

 

関連先では、新たにリレーションをつくりたいオブジェクトを選択します。
主従関係を設定する場合は、ここで主オブジェクトを選択します。
[次へ]を選択し、表示ラベルや項目名、リレーション名などに任意の名称を入力します。
[次へ]を選択し、ページレイアウトなどほかの設定は変更をせずに次に進みます。その次に[関連リストの表示ラベル]に任意のラベル名を入力します。
以上で新規リレーションの作成は終了です。

 

Salesforceの積み上げ集計の作成方法とは?

次に、主従関係で使用できる「積み上げ集計」について解説します。
積み上げ集計とは、あらかじめ設定しておけば、手動で計算をせずに合計値を表示できるカスタム項目です。
ここでは「主オブジェクト:取引先」のカスタム項目として、「従オブジェクト:商談」の商談金額を積み上げ集計してみましょう。

 

1. データ型で積み上げ集計を選択し、各種項目名を記入


<カスタム項目のデータ型の設定>

 

まず、オブジェクトマネージャーより[取引先]を選択します。
[項目とリレーション]を選択し、[新規]を選びます。
[データ型]で[積み上げ集計]を選択して、[次へ]を選択し、項目の表示ラベルと項目名に任意の名称を記入します。

 

2. 従オブジェクトの選択と集計対象の設定


<集計対象のオブジェクトの選択>

 

次に、集計対象のオブジェクトを選択します。
ここでは、[商談]を選択します。[積み上げ種別の選択]では合計値を算出したい種別を選択します。ここでは、[合計]を選択します。
これで、商談の合計金額を集計できます。

 

なお、ここでは使用しませんが、[件数]では商談の合計件数を、[最小]では取引先との取引開始日時を、[最大]では取引先との直近の連絡日時を集計できます。
集計対象オブジェクトの設定ができたら、ページレイアウトなどほかの設定は変更をせずに次に進み、終了となります。
主オブジェクトの詳細タブを開きます。先ほど任意で入力した[項目の表示ラベル名称]が確認できれば、設定は完了です。

 

Salesforceの主従関係・参照関係における制限事項

オブジェクトの種類によっては、主従関係を設定できない場合もあります。
たとえば、リードとユーザオブジェクトは、主従関係における主オブジェクトにはなれません。つまり、この2つは主従関係の主として設定できず、積み上げ集計も不可能なため注意が必要です。
また、一度参照関係として作成したオブジェクトを途中で主従関係に変換する場合は、以下のような条件に注意する必要があります。
1つ目は、オブジェクトに既存のレコードがないことです。該当のオブジェクトでまだレコードを1件も作成していない場合は、スムーズに変換できます。
2つ目は、すべての既存レコードの参照フィールドに、値が含まれていることです。作成した既存のレコードがある場合、参照項目すべてに値を入力した後であれば、変換が可能です。

 

Salesforceの主従関係・参照関係を作成するときの注意点

カスタムオブジェクトを主、標準オブジェクトを従とした主従関係の設定はできません。
また、カスタムオブジェクトは、データを保持している場合、主従関係の構築が困難です。カスタムオブジェクトを使用する際は、レコードを作成する前に主従関係の設定を行いましょう。なお、参照関係であればレコードがあっても設定が可能です。

 

Salesforceの主従関係・参照関係のよくある質問&解決策

主従関係の特徴は、積み上げ集計が使えるもののリレーション個数などに制限があることです。そのため、主従関係を作成したり、主従関係・参照関係の設定を変更したりするとき、制限に引っかかってしまって操作できないケースも見受けられます。ここでは、そのような場合によくある質問と解決策を紹介します。

 

質問1:主従関係を設定できません

解決策1:主従関係のリレーションがすでに2つないか確認する
主従関係で定義できるオブジェクトは2つまでです。「主従関係の項目を1つしかつくっていないにもかかわらず作成できない」という場合はほかのオブジェクトの主になっていないか確認しましょう。

 

解決策2:主として設定したいオブジェクトの種別を確認する
リードとユーザオブジェクトはほかのオブジェクトの主として設定できません。

 

質問2:主従関係から参照関係にリレーション種別を変更したいのですが、[データ型の変更]のボタンが表示されません

 

解決策1:積み上げ集計項目を設定していないか確認する
積み上げ集計項目が設定されていた場合、主従関係から参照関係への変更ができません。
主オブジェクトの設定で、積み上げ集計項目を削除しましょう。

 

解決策2:クロスオブジェクト数式項目の自動更新を使用しているか確認する
クロスオブジェクト数式項目(2つの関連オブジェクトにまたがり、そのオブジェクトで差し込み項目を参照する数式)を使用していないか確認しましょう。[クロスオブジェクト数式項目の自動更新]は主従関係でのみ機能するため、クロスオブジェクト項目の自動更新を消去しましょう。

 

質問3:参照関係から主従関係にリレーション種別を変更したいのですが、[データ型の変更]ボタンが表示されません

 

解決策1:すべての参照項目に値が含まれているか確認する
すべてのレコードの参照項目に値が含まれていない場合には、[参照関係]から[主従関係]に変換できません。

 

解決策2:オブジェクトのアクセスレベルに対する組織の共有設定を確認する
リレーションにおいて、従オブジェクトアクセスレベルに対して組織の共有設定が[親レコードに連動]となっている場合、参照関係を主従関係に変更することはできません。

 

※オブジェクトについて詳しく解説しているこちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」もご活用ください。

 

まとめ

Salesforceのオブジェクトリレーションの活用で、紐づけたオブジェクトのデータを簡単に参照できます。また、積み上げ集計の使用で、フローやプロセスビルダーといった自動化ツールを使用せずに、簡単に予実管理なども行えます。主従関係や参照関係だけでなく、多対多や階層、外部参照など色々なオブジェクトリレーション種別があり、これらを使いこなすことで、Salesforceに入力したデータをより一層効率的に活用できます。

 

セラクCCCは、セールスフォース社認定のコンサルティングパートナーとして300名(23年5月時点)を超える経験豊富なコンサルタントが在籍しており、お客様の視点に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。お悩みやご要望がありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談からお問い合わせください。

Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください

  • TOP
  • コラム一覧
  • Salesforce主従関係・参照関係とは? 作成・設定方法や注意点を解説