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SalesforceのService Cloud(サービスクラウド)の特徴は? 導入のメリットやポイント、料金を解説

2023年08月01日

  • Salesforce
  • 使い方

はじめに

セラクCCCのSalesforce推進部のAです。本記事では、「カスタマーサポートの質を向上させたいが、具体的にはどうすればいいのか?」とお悩みの方へセールスフォース社が提供する『Service Cloud(サービスクラウド)』をご紹介します。
Service Cloudの機能と導入のメリットをご説明して、混同されることの多い、同社が提供する『Sales Cloud』との比較を通じて疑問を解決します。

 

また、Salesforce(セールスフォース)の活用に関する重要なポイントを詳しく解説しているこちらの資料「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」と併せてご活用ください。

 

SalesforceのService Cloud(サービスクラウド)とは?

Service Cloud(サービスクラウド)は、カスタマーサポート業務を効率化し、顧客満足度を高めてコスト削減に貢献するクラウドベースのシステムです。電話や電子メール、SNSなどのさまざまなチャネルを通じて届く問い合わせに、「速く正確に」対応できるようにオペレータを支援します。加えて、CRM(顧客関係管理)システムの機能も持ち、顧客の[商談]などの情報を問い合わせの情報と一元的に管理できます。

 

Service CloudとSales Cloudの違い

Service Cloud
カスタマーサービスに特化した機能
Sales Cloud
営業支援に特化した機能
  • ・サービスコンソール
  • ・オムニチャネルルーティング など
  • ・売上予測
  • ・見込み客管理 など
共通でできること
顧客管理や社内の情報共有などの機能
・取引先 ・取引先責任者 ・カレンダー ・Chatter
・商談管理 ・商品管理 ・ケース管理 など

<Service CloudとSales Cloudの違い>

 

SalesforceにはService Cloudとは別に、「Sales Cloud」というパッケージもあります。Service Cloudは問い合わせ管理などのカスタマーサポートの効率化が主目的ですが、一方、Sales Cloudは見込み客や案件、売上予測などを管理し営業活動を効率化することが主目的です。そのため、[取引先][取引先担当者][商談]などのオブジェクトや顧客関係管理の機能はどちらのパッケージにも備わっていますが、[サービスコンソール]や[オムニチャンネル]のように、Service Cloudにしかない機能もあります。

 

Salesforceには、Service CloudとSales Cloud以外にも目的に応じて機能の一部が異なるパッケージがいくつも用意されています。導入時には目的にあわせて最適なパッケージを選択しましょう。

 

Service Cloudの機能一覧

Service Cloudには複数の機能があります。ここではService Cloudの主な機能について、カスタマーサポート業務のプロセスごとにご紹介します。

 

問い合わせ担当者の決定までのプロセスを効率化する機能

ナレッジのタブ
<ナレッジのタブ>

 

Service Cloudには問い合わせを減らし、顧客が問題を自己解決するための機能があります。[ナレッジ]オブジェクトによくある質問などのデータを蓄積していくことで、顧客は簡単な問題を自己解決できます。オペレータは重要度の高い問い合わせに注力できるため、顧客満足度の向上につながります。

 

また、電話やメールなど、さまざまなチャネルを通じた問い合わせがあったときに[オムニチャネルルーティング]という機能が活躍します。オペレータの作業状況やスキルをもとに自動で適切な担当者を選ぶため、無作為な担当割り当てと比べて効率よく問い合わせに対応できます。
ほかにも着信した電話番号をもとに問い合わせ顧客の情報を表示し、[ケース]を自動作成する機能や、通話内容の記録ができる[CTI連携]機能なども備えています。

 

適切な回答を探すプロセスを効率化する機能

Lightning Service Console
<Lightning Service Console>

 

Service Cloudでは、[Lightning Service Console]というカスタマーサポート用のユーザインターフェースが用意されています。問い合わせが発生したときには、関連性の高い[ナレッジ]などの関連情報を自動で表示します。画面遷移をせずにタブの形で関連情報を参照できるため、必要な情報をすぐに確認でき、解答までの時間を短縮できます。

 

なお、1件の問い合わせは[ケース]オブジェクトの1レコードとして、[ナレッジ][取引先担当者]などと関連付けて一元管理できます。

 

Service Cloudのメリットとは?

Service Cloudのメリット

<Service Cloudのメリット>

 

Service Cloudを導入するメリットは、顧客満足度の向上や人的リソースの効果的な活用、情報の一元管理などです。業務の一部を自動化したり、必要な情報を参照しやすくしたりすることで業務効率を向上させられます。

 

顧客満足度の向上

顧客からの問い合わせ時に、蓄積した情報を参照することで素早く回答できます。また、簡単な疑問は[ナレッジ]を参照して顧客が自己解決できます。結果として問題解決の速度を上げ、顧客満足度を高められます。

 

人的リソースの効果的な活用

[ナレッジ]によって、顧客が簡単な問題を自己解決できるようになると、オペレータは重要度の高い問い合わせに注力できます。また、担当者の割り振りなど、一部の業務を自動化することでカスタマーサポートに携わる限りある人的リソースを効果的に活用できます。

 

一元管理する情報の活用

[ケース]や[ナレッジ]といったカスタマーサポート関連情報を顧客関係情報と一元管理することで、今まで活用できなかったデータを業務に活かせるようになります。たとえば、営業担当者は顧客の動向だけでなく、問い合わせの内容なども含めてニーズを判断できるようになります。営業の内容やタイミングを見直すきっかけになり、顧客それぞれに合ったアプローチがしやすくなります。

 

Service Cloudの導入をとくにオススメする企業は?

現在、業務効率化を支援するさまざまなクラウドサービスが展開されており「どれを選べばよいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、Service Cloudの導入をオススメする企業を2つご紹介します。

 

比較的規模の大きい企業

Service Cloudは、カスタマイズ次第で企業のニーズに幅広く対応できる柔軟なシステムです。ただし、導入・運用にはまとまった費用がかかるため、初期費用やランニングコストにある程度の予算を割けられる企業や大規模な企業が適しています。さまざまな料金プランが用意されているので、どのプランが適しているのかをしっかりと見極めることが大切です。

 

また、Service Cloudは大容量のデータに対応できるため、多くの顧客情報などを扱う企業にも適しています。「Excelで管理しているもののデータ量が多く動きが遅い」「データ量の上限を超えてしまい新たなシステムを探している」などの場合も、Service Cloudの導入がオススメです。

 

情報を一元管理したい企業

顧客情報や売上情報、案件の進捗情報、営業関係のデータなど、社内のデータを別々のシステムで管理していると、必要なときに欲しい情報をスピーディに取り出しにくいものです。また、「どこにどのデータがあるのかがわからない」というトラブルも発生しやすく、情報漏洩や重大なミスなどにもつながりかねません。

 

Service Cloudは、社内のあらゆるデータを一元的に管理することが可能です。異なる部門・部署、チームなどの情報をひとつのシステムで管理できるため、部門間で情報を共有したり、連携を取りながら業務を進めたりするときにも効果を発揮します。

 

Service Cloudを導入する際に気をつけることとは?

Service Cloudを活用して企業の課題を解決するには、いくつかの注意点があります。これから紹介する取り組みを通して、システムの定着とデータの蓄積を確実に行うことが大切です。

 

Salesforceの使い方と最大活用のために絶対やるべきこと

 

活用推進チームを作る

Service Cloudはカスタマイズできる幅が広いため、現場が使いやすいようにシステムを継続的に改善することが大切です。「Salesforce管理者の所属する部署」と「実際に実務を行う現場」に距離がある場合、現場のニーズを管理者が汲み取れておらず、本当に必要な機能が実装されていないケースも少なくありません。現場の声をしっかりと把握するために、カスタマーサポート部門やコールセンター内などにService Cloudの活用推進チームをつくるのが効果的です。

 

また、担当者を社内に配属できないときは、社外のサービスを活用する方法もあります。Service Cloudの導入や定着を支援する専門のサービスもあるため、状況に応じて活用しましょう。

 

カスタマーサポート業務の重要な指標を管理する

カスタマーサポート業務では、顧客満足度と共に「生産性の向上」も重要です。Service Cloudを使えば、問い合わせの対応にかかる時間に代表される「生産性」に関わる数字を簡単に把握できます。ダッシュボードやレポートを使って、指標を管理しましょう。

 

運用ルールを策定し、トレーニングで共有する

[ケース]のデータ入力や更新作業について、しっかりとルールを定めて共有しましょう。ルールに基づいて[ケース]を入力しておけば、問い合わせが発生したとき自動的に類似した[ケース]情報が表示され、解決までの時間を短縮してくれます。トレーニングは定期的に継続して行い、しっかりとルールを定着させることも重要です。

 

また、マニュアルやトレーニングの準備が難しい場合は、社外のリソースを積極的に活用しましょう。Service Cloudの導入・定着・運用支援に特化したパートナー企業に相談することで、導入の準備や手間が大幅に削減できます。

 

より高い効果を発揮するため、ほかのツールとの組み合わせも検討する

カスタマーサポートをより効率化するためには、Service Cloudと他のツールとあわせて活用するのもオススメです。「オペレータがメール・電話などで対処法を伝えたものの、解決が難しい」というときは、現地で顧客サポートを行う必要があるかもしれません。そのような場合は、「Field Service(フィールドサービス)」というシステムを活用するのが効果的です。

 

Field Serviceとは、セールスフォース社の提供するモバイル対応の現場業務向けパッケージです。現在地からの移動距離や作業内容、スキル、空き時間などを考慮し、スタッフを自動割り当てする機能を備えており、管理者の負担を軽減できます。また、現地スタッフは作業内容や手順書、顧客情報などの情報をモバイルアプリですぐに確認でき、効率的に業務が行えます。

 

このように、現場での作業をサポートする専門システムをあわせて活用することで、より快適に業務オススメられます。

 

Service Cloudのサービスと価格

CRMとカスタマーサポートに特化したService Cloudは、「Essentials」「Professional」「Enterprise」「Unlimited」の4プランが用意されています。料金が上がるごとに利用できる機能が増える仕組みになっています。それぞれの月額料金は以下のとおりです。

 

  • ・Essentials:税抜3,000円/ユーザ(年間契約時)
  • ・Professional:税抜9,000円/ユーザ(年間契約時)
  • ・Enterprise:税抜18,000円/ユーザ(年間契約時)
  • ・Unlimited:税抜36,000円/ユーザ(年間契約時)

 

※2023年8月時点の情報です。改定後の価格については以下をご参照ください。
各種エディションと料金-Service Cloud Lightning | セールスフォース・ジャパン

 

Essentialsは、ユーザ1人あたりの利用料金が最も安いプランで、ユーザ数上限は10名です。小規模チーム向けの顧客サポートやスタートアップ企業などに向いています。カスタマーサービスに必要な機能を完備しており、ひとつの画面でメールやTwitter、Facebook、自社のWebサイトなどを通じた問い合わせに対応・管理できます。設定はウィザード形式で行えるので、ITの専門知識がない方でも簡単に設定でき、すぐに利用可能です。

 

Professionalは、包括的なサービスに向けた顧客関係管理システムで、ユーザ数に上限はありません。あらゆる規模のチームに対応しており、顧客サポートだけではなく、カスタマーサービスチームの業績向上を図れます。顧客ケースのトラッキングやエンタイトルメントの管理にも対応しています。レポートやダッシュボードは企業ごとにカスタマイズができ、顧客の潜在ニーズをリアルタイムに引き出すことも可能です。パーソナライズされたFAQサイトを提供することで、顧客の自己解決率向上も図れ、業務効率が向上します。

 

Enterpriseは、より柔軟なカスタマイズに対応した、包括的なサービスに向けた顧客関係管理システムです。Service Cloudのプランのなかで最も利用されており、カスタマーサービスの可能性を最大限に引き出せる機能を備えています。APIを用いて高度な業務プロセスを自動化したり、任意のシステムと統合したりすることもできます。また、人工知能ロボットを用いて問題解決時間の短縮を図れます。

 

Unlimitedは、CRM機能とサポートが無制限に活用できるプランです。アプリケーションやカスタムタブなどを制限なく利用でき、あらゆるカスタマーエクスペリエンスの向上を目指せます。また、Webチャット機能やナレッジベース、無制限のオンライントレーニング、24時間年中無休のフリーダイヤルサポートなど、100種類以上のアドミンサービスを利用できます。アプリ開発やカスタマイズの際は複数のSandboxにいつでもアクセスでき、本番前のテストを迅速に行えるので生産性向上に寄与します。

 

このように、プランによって解決できる課題や適している企業規模などが異なります。「カスタマーサービスの質をどの程度向上させたいのか」「自社にあわせたカスタマイズは必要か」などを考慮したうえで、適切なプランを選択しましょう。すべてのプランに14日から30日間の無料トライアルが提供されているので、まずはトライアルで使い勝手を確認してみることをオススメします。

 

SalesforceのService Cloudは、カスタマーサポートの業務効率化に特化したサービスを提供します。どのような規模のチームにも適切なサービスが用意されており、担当者の負担軽減、あらゆる顧客のニーズへの対応、迅速な問題解決による顧客満足度の向上などが期待できます。

 

まとめ

Service Cloudの導入メリットは、カスタマーサポートのクオリティアップや、限られた人的リソースでの業務効率化が実現できることです。しかし、カスタマイズの幅が広いため、ニーズに応じて活用するには継続的なトレーニングが欠かせません。また、事前準備が不十分だと導入・定着が失敗してしまう可能性もあるので、あらかじめ運用方法を検討しておくことが大切です。そのため、Salesforce(セールスフォース)の定着(データの蓄積)に関する重要なポイントを詳しく解説しているこちらの資料「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」をご活用ください。

 

Service Cloudの導入・定着や効果的な活用方法などでお悩みでしたらセラクCCCにご相談ください。当社はセールスフォース社認定のコンサルティングパートナーとして300名(23年5月時点)を超える経験豊富なコンサルタントが在籍しており、お客様の視点に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。

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