コラム詳細
はじめに
セラクCCCのSalesforce推進部のNです。Salesforceの機能説明では「オブジェクト」という用語が頻繁に出てきますが、Salesforceの機能を理解するためには必須の基本用語のひとつです。
本記事では、オブジェクトの概要や代表的な標準オブジェクトの内容、カスタムオブジェクトの作り方について解説します。
また、こちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」とあわせてご活用ください。
<オブジェクトのイメージ>
Salesforceのデータ管理システムの要であるオブジェクトは、個々のデータ群をまとめた「箱」のようなものです。英語の「object」の直訳は「物体」ですが、IT業界では「データの集まり(データの集合体)」という意味で使われます。
オブジェクトは、Salesforceの中心的な機能である「顧客情報の蓄積と管理」を実現するための基本単位です。
たとえば特定の顧客や取引、企業情報などのデータのまとまりがオブジェクトであり、具体的には「リード」「取引」「取引先責任者」などが該当します。Excelでいう「シート」に該当するのがオブジェクトです。
オブジェクトを構成している主な要素(データ)は「項目」と「レコード」です。Excelでたとえるなら、列にあたるのが項目、行にあたるのがレコードです。ここではオブジェクトの項目とレコードについて詳しく解説します。
また、複雑になりやすいオブジェクト間の関連性を可視化するために作成するオブジェクト構成図については、こちらの記事(Salesforceのオブジェクト構成図とは? メリットや作成時のポイント)も参照ください。
項目
Salesforceの「項目」は、Excelなら「列」にあたり、具体的にはオブジェクト内の個々のデータ属性を指します。
たとえば「取引先」オブジェクトの項目には「企業名」「住所」「電話番号」といった企業情報が含まれます。これらの情報のラベルがSalesforceの項目です。項目は、データの整理やフィルタリングなどに使用され、特定の情報をすばやく見つけ出すために役立ちます。
Salesforceの項目には、標準で用意されている「標準項目」のほかにも、ユーザが独自に設定できる「カスタム項目」があります。
レコード
Salesforceの「レコード」は、Excelの「行」にあたり、オブジェクトに格納される実際のデータを指します。
たとえば「取引先」オブジェクトのレコードには、特定の企業の情報(企業名や電話番号など)が入ります。ユーザが、見込み顧客や既存顧客などの情報をオブジェクトに定義された項目にしたがって入力・保存することで、オブジェクトが構成されるようになっています。
Salesforceのオブジェクトには、あらかじめ用意されている「標準オブジェクト」と、ユーザが自由に設定できる「カスタムオブジェクト」との2種類があります。
ここでは、この2つのオブジェクトの違いについて見ていきます。
標準オブジェクト
Salesforceによってあらかじめ構築されたデータのコンテナが標準オブジェクトで、一般的なビジネスプロセスをサポートするためのオブジェクトが用意されています。
具体的には「取引先」「商談」などがあり、それぞれ特定のビジネス関連データを格納・管理できるようになっています。たとえば「取引先」オブジェクトには、顧客企業の情報を格納します。
カスタムオブジェクト
カスタムオブジェクトは、ユーザが特定のビジネス要件にあわせて自由に作成できるデータのコンテナです。
標準オブジェクトが一般的なビジネスニーズをカバーするのに対して、カスタムオブジェクトは組織固有の特別なニーズに対応するためのものです。
カスタムオブジェクトが役立つ場面は、特定の業界に特化したデータを管理する場合や、標準オブジェクトには存在しない特殊なデータ属性を管理する際です。
代表的な標準オブジェクトの一覧は、以下の表のとおりです。
管理する情報 | 標準オブジェクト一覧 |
---|---|
顧客情報 | 取引先、取引先責任者、リード |
活動情報 | 商談、商談商品、キャンペーン、ケース、見積、注文、契約、活動、ToDo、行動、活動予定、メール、ナレッジ |
商品情報 | 商品、ソリューション、価格表 |
その他の情報 | ユーザ、カスタムオブジェクト |
この他にも、標準オブジェクトにはさまざまな種類があります。
顧客情報を管理する代表的なオブジェクトには「取引先」「取引先責任者」「リード」が挙げられます。以下で詳しく解説します。
取引先
取引先(API参照名:Account)は、顧客やパートナー企業などの、ビジネスに関わる組織や企業を管理するためのオブジェクトです。
取引のある(あるいは、取引の可能性のある)企業の情報を一元管理し、自社との関係を追跡できます。
取引先責任者
取引先責任者(API参照名:Contact)は、取引先の担当者の情報を管理するためのオブジェクトです。取引先責任者の氏名やメールアドレス、電話番号などの連絡先情報に加え、役職などの情報を記録し、営業活動や関係性を追跡できるようにします。
リード
リード(API参照名:Lead)は、見込み顧客の情報を管理するためのオブジェクトです。リードの氏名や連絡先情報、会社名、役職などの情報のほかに、これらの情報がどのような経路で得られたかも管理することが可能です。
活動情報を管理する代表的なオブジェクトには「商談」「商談商品」「キャンペーン」などが挙げられます。以下で詳しく解説します。
商談
商談(API参照名:Opportunity)は、取引先との商談情報を管理するためのオブジェクトです。
商談の進捗情報や予想される取引金額、自社の商談担当者などを記録でき、どの程度の売上がいつ頃立ちそうかといったことを管理できます。
商談商品
商談商品(API参照名:OpportunityLineItem)は、商談に関連した具体的な商品やサービスを管理するためのオブジェクトです。
商品名や単価、数量などを記録・管理することが可能で、商談から生まれる収益を予測したり、商品別の動向を把握したりするのに役立ちます。
キャンペーン
キャンペーン(API参照名:Campaign)は、マーケティング施策に関する情報を管理するためのオブジェクトです。
広告やメールマガジン、ダイレクトメール、イベントなどのマーケティング情報を記録することによって、マーケティング予算のROIを分析できます。
ケース
ケース(API参照名:Case)は、顧客からの問い合わせを管理するためのオブジェクトです。
問い合わせに対して一意の番号を振って、質問内容や緊急度を記録できます。問い合わせに回答するための適切な担当者をアサインでき、問題が解決するまでのプロセスの追跡が可能です。
見積
見積(API参照名:Quote)は、顧客に対する見積データを作成するためのオブジェクトです。
商品明細や見積金額のほか、見積期限や請求先情報といった情報も管理可能です。見積は商談オブジェクトから作成でき、PDFとして添付して、顧客にそのままメール送信できます。
注文
注文(API参照名:Order)は、契約オブジェクトまたは取引先オブジェクトに紐づけられた注文情報を記録するためのオブジェクトです。
注文内容や注文日、納入先の住所など、詳細な注文情報を管理できます。
契約
契約(API参照名:Contract)は、取引先オブジェクトに紐づけられた契約情報を記録するためのオブジェクトです。契約内容や契約期間を管理し、契約に関する詳細をいつでも確認できます。
活動
活動(API参照名:Activity)は、「Todo」と「行動」とがひとつにまとめられたようなオブジェクトで、メールや電話、訪問結果といった日々の営業活動を記録するためのものです。活動日や期日、ステータスを管理し、顧客へのアクションを追跡できます。
ToDo
ToDo(API参照名:Task)は、営業活動に対するToDo情報を記録するためのオブジェクトです。
ステータスと期日を管理できるので、進捗状況を詳細に追跡できるようになります。完了していない場合には、期日を過ぎてもクローズされることはありません。
行動
行動(API参照名:Event)は、営業活動の予定をスケジュールとして登録し、チームメンバーの活動状況を共有・管理するためのオブジェクトです。
ToDoとは異なり、期日を過ぎると自動的に完了ステータスとなります。
活動予定
活動予定(API参照名:Open Activity)は、未来の行動や未完了のToDoを管理するためのオブジェクトです。将来的に完了する必要のあるアクションが記録され、営業活動のステータスを管理できます。
メール
メール(API参照名:Email Message)は、Salesforce内で送受信されるメールを管理するためのオブジェクトです。
取引先責任者やリードなどに登録されたメールアドレスからメールを送信し、同時にTodoも作成できます。
ナレッジ
ナレッジ(API参照名:Knowledge__kav)は、ナレッジ記事を管理するためのオブジェクトです。記事の内容のほか、バージョン管理や承認プロセスなども管理できます。
商品情報を管理する代表的なオブジェクトには「商品」「ソリューション」「価格表」などが挙げられます。以下で詳しく解説します。
商品
商品(API参照名:Product2)は、取り扱っている商品のマスタ情報を保存します。
ソリューション
ソリューション(API参照名:Solution)は、顧客からの問い合わせに対する解決策を記録しておくためのオブジェクトです。
よくある質問の回答やトピックをカテゴリ分類している場合には、カテゴリ別のソリューションの参照や、検索が可能です。
価格表
価格表(API参照名:Pricebook2)は、製品やサービスの価格を管理するためのオブジェクトです。
販売価格の設定では、地域や顧客セグメントに応じて複数の価格体系を設定することも可能で、柔軟な価格戦略を実行できます。
その他の情報を管理するオブジェクトは以下の通りです。
ユーザ
ユーザ(API参照名:User)は、組織内のユーザのアカウント情報を管理するためのオブジェクトです。
ユーザごとのアクセス権限の管理や、商談などに担当者(ユーザ)を割り当てることができます。
カスタムオブジェクト
カスタムオブジェクトは、標準オブジェクトではカバーしきれない、組織固有のデータやプロセスを管理するために利用します。
カスタムオブジェクトを活用することで、それぞれの企業のビジネスニーズに応じて最適なデータ管理を行えます。
標準オブジェクトはあらかじめ用意されているため、新たに作成しなくても選択するだけで利用できますが、カスタムオブジェクトを利用には、ユーザが必要事項を入力して、作成する必要があります。
ここでは、カスタムオブジェクトの作成手順を解説します。カスタムオブジェクトについては、こちらの記事(Salesforceのカスタムオブジェクトとは?概要や作成方法、注意点を解説!)も参照ください。
まず、設定画面の「プラットフォームツール」を開き、「オブジェクトおよび項目>オブジェクトマネージャー」を選択します。画面右上の「作成」から「カスタムオブジェクト」を選びます。
<「カスタムオブジェクト」を選択>
次に、表示された「新規カスタムオブジェクト」画面で、「表示ラベル」「オブジェクト名」「レコード名」「データ型」などの必要事項を入力します。
<新規カスタムオブジェクトの画面>
<必要事項を入力>
「カスタムオブジェクトの保存後、新規カスタムウィザードを起動する」にチェックを入れて「保存」をクリックします。
<「保存」をクリック>
次に、表示された新規カスタムタブページの「ステップ1.詳細を入力」画面の「タブスタイル」で好みのタブを選択し、「次へ」をクリックします。
<「タブスタイル」の選択1>
<「タブスタイル」の選択2>
「ステップ2.プロファイルに追加」画面で、新規作成したカスタムオブジェクトを表示させるプロファイルを選択して、「次へ」をクリックします。
<プロファイルを選択>
「ステップ3.カスタムアプリケーションに追加」で、利用可能にするアプリケーションを選んだら「保存」をクリックします。
<利用可能なアプリケーションを選択して保存>
これでカスタムオブジェクトの作成は完了です。
まとめ
Salesforceのオブジェクトはデータの集合のことです。あらかじめ数多く搭載された「標準オブジェクト」だけでもビジネスプロセスを効率化することは可能ですが、自社のニーズにあわせて「カスタムオブジェクト」を作成すれば、より大きな効果が期待できます。しかし、Salesforceは多機能ゆえに、定着・活用や運用のハードルが高いと感じる企業は少なくないはずです。
Salesforceの定着・活用や運用でお悩みがあるのであれば、ぜひ、セラクCCCのカスタマーサクセスチームの無料相談からお問い合わせください。当社はセールスフォース社認定のコンサルティングパートナーであり、300名(2024年6月時点)を超える経験豊富なコンサルタントが在籍しています。お客様の立場に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。また、オブジェクトについて詳しく解説している資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」もあわせて活用ください。
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