コラム詳細
はじめに
Salesforceを適切に運用していると、売り上げ目標に必要な見込み客(リード)のボリュームが見えてきます。しかし、常時十分な見込み客(リード)数を確保し続けることは、簡単ではありません。新たな見込み客(リード)がコンスタントに現れる流入経路の確保が必要です。そこで今回は、WEBマーケティングを活用して見込み客(リード)を増やす方法をご紹介いたします。
見込み客(リード)の購買意欲や関心度合を高めていくことを、マーケティング用語で「顧客育成(リードナーチャリング)」と言います。リードナーチャリングでは、見込み客(リード)に関するデータを使って、顧客のニーズ(Needs)やサービスや製品に対するウォンツ(Wants)の度合いをある程度定量化して態度変容を管理していくことが重要です。
Salesforceで「リード」オブジェクトを活用すれば、リードナーチャリングはカスタマイズ設定にはなるものの、Salesforceの標準機能の範囲で行えます。例えば、顧客の興味/関心度合いを示すランクを予め設定しておき、特定の条件を満たした場合には次のランクへ上げる、又は下げるといったものです。顧客状況を細かに可視化することで、状況別に施策を講じるなどの戦略的な判断が可能になります。
ただし、Salesforceで顧客状況を管理するためには、十分な数の見込み客(リード)がいることが前提となります。たとえ適切なデータ管理や可視化ができたとしても、見込み客(リード)数が少なくては、大幅な売上増加には繋がりません。そこで、見込み客(リード)を増やすため、今主流になりつつあるWEBマーケティングを使った方法をご紹介します。
マーケティングの手法はテレビCMや新聞広告といった従来の大衆向けマーケティングから、IT技術を活用したWEBマーケティングへと変化してきました。株式会社電通が2020年3月に公表した「2019年 日本の広告費」によると、インターネット広告が近年急成長を遂げ、2019年には初めてマス広告を抜いて広告費全体の約30%を占め1位となりました。いよいよWEBマーケティングの時代到来、と言えるかもしれません。
この背景には、ターゲットを絞り込む上で必要なデータ収集が技術的に可能となり、情報の受け取り手に合わせた1to1マーケティングが行えるようになったことが挙げられます。
テレビCMや新聞広告といった大衆向けマーケティングに対し、より個々人の属性や状態に合わせて行われるのが1to1マーケティングです。言い換えると、顧客それぞれの関心やニーズ(Needs)を個人レベルで最適化された状態(不要で無駄な情報が最小化された状態)で行われる効率的なマーケティング手法です。こうしたマーケティング手法は対個人(to C)だけではなく対企業(to B)でも活用され始めています。
1to1マーケティングを行うには、何よりも見込み客(リード)の情報をより多く収集する必要があります。集めた情報を基に自社顧客の傾向や特徴を分析することで、類似性を持つターゲットに刺さりやすいマーケティング施策を展開することが出来るからです。こうして行った施策が効果的にターゲットにリーチすれば、見込み客(リード)化へ繋げられます。それでは、効率よく情報収集するにはどうしたらいいでしょうか。
先ずは、見込み客(リード)の流入経路をオンラインに確保することです。オンライン化すると、自社WEBサイトにアクセスした訪問者の属性(性別、年齢、活動時間帯や地域)や、アクセスしたページとその滞在時間など、様々な情報の収集と蓄積が可能になります。そこで今回は、特にお勧めするコンテンツマーケティングの手法を、二つご紹介します。
オウンドメディアとは、企業が自社WEBサイトで記事を投稿するブログのようなコンテンツを指します。記事の内容は、製品やサービスの紹介、関連お役立ち情報、企業の考え方や思いといった幅広い情報を投稿し、より多くのニーズ(Needs)に対応できるようにします。オウンドメディアは、以下のような効果を通じて見込み客(リード)の獲得に繋げていきます。
(1)記事コンテンツは情報資産。広告としての費用対効果が高い
一度投稿した記事は、SNSのように情報が流れることはありません。記事の情報価値があれば、投稿後も見込み客(リード)を集め続けます。広告として考えると、費用対効果を高めることが十分可能なコンテンツと言えます。
(2)様々な見込み客(リード)の態度変容に対応できる
自社WEBサイトにやってくる見込み客(リード)のニーズ(Needs)や製品やサービスに対するウォンツ(Wants)の度合いは様々で、それらは時間の経過と共に変化し続けていきます。こうした見込み客(リード)の態度変容には、それぞれのフェーズに合わせたコンテンツを用意でき、且つ蓄積可能なオウンドメディアの活用は効果的と言えます。
(3)見込み客(リード)のロイヤリティを高め、ブランディングに繋がる
見込み客(リード)が知りたい情報を提供し続けることは、オウンドメディアへの訪問機会の創出に繋がります。複数のコンテンツを通じて知識を深めることにより、見込み客(リード)のウォンツ(Wants)を向上することに繋がります。また、見込み客(リード)のロイヤルティは徐々に自社への信頼となり、最終的にはその分野における自社のブランディング力を高める効果を生みます。
(4)従来リーチできなかった見込み客(リード)の獲得
検索サイトやSNSなどと連携すると、これまで自力ではリーチできなかった見込み客(リード)の流入が期待できます。記事には人気の検索ワードを挿入することで、SEO評価が上がり、更なる見込み客(リード)の流入というプラスの循環を生みます。
情報ストック型のオウンドメディアとは異なり、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSを使ったコンテンツマーケティングは、その情報流動性を活かして、見込み客(リード)の獲得へ繋げます。
(1)情報のシェア(共有)機能で、情報の拡散が可能
性別や年齢、過去に閲覧したホームページや動画、ダウンロードしたアプリといった情報を基に広告を表示させるターゲットを選択することが可能です。広告には、見込み客(リード)が興味をもつだろう記事コンテンツや動画コンテンツを連携するよう表示させることで、そのまま自社のオウンドメディアへの流入に繋げられます。
(2)見込み客(リード)の属性にあった情報表示
性別や年齢、過去に閲覧したホームページや動画、ダウンロードしたアプリといった情報を基に広告を表示させるターゲットを選択することが可能です。広告には、見込み客(リード)が興味をもつだろう記事コンテンツや動画コンテンツを連携するよう表示させることで、そのまま自社のオウンドメディアへの流入に繋げられます。
このように、性質の異なるコンテンツマーケティングを併用することで、新たな見込み客(リード)へリーチしつつ、自社の認知や製品理解へと繋げていくことが可能になります。こうして集まった見込み客(リード)から問い合わせを受けた場合は、適宜Salesforceの「リード」オブジェクトにその顧客情報を登録し、更なるリードナーチャリングや情報分析に活用していきましょう。
WEB会議やオンラインセミナー(ウェビナー)そのものは以前からありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活や商習慣を劇的に変え、ビジネスシーンにおいても非対面コミュニケーションが好まれるようになりました。
例えば商談です。直接接点を持つ機会が減ったことで、WEB商談を実施する企業が増えてきました。WEB商談では、通信環境や物理的な距離により、お互いに集中力を保ち続けることは難しくなりがちです。このため、商談で話し合うべき内容の精査を行いましょう。特に汎用性の高い会社説明資料やサービス概要説明は、動画や記事コンテンツなどの形でオンライン公開し、商談とは別のタイミングで相手に見てもらえる環境を整えます。そうすることで、商談ではより中身の濃い打ち合わせに時間を使うようにします。また、作成したコンテンツをオウンドメディアやSNSで配信すれば、セールス担当と接点のない見込み客(リード)獲得に繋げられます。
・セールス担当に求められる役割が変わりつつある
オウンドメディアのコンテンツが充実していれば、セールス担当を介さずとも、見込み客(リード)は自身のニーズ(Needs)にあった記事を自由に閲覧し、サービスや製品に対するウォンツ(Wants)を高めるようになります。これは、リードナーチャリングにおいてセールス担当の介入が必須ではなくなる、という事です。
WEBマーケティングが円滑に回り始めると、マーケティングがリードナーチャリングを行い、セールス担当はマーケティングから引き継いだ高確度の顧客や、顧客自身では気づけなかった付加価値(アップセル/クロスセル)の提案といった営業活動に集中できるようになります。
WEBマーケティングが主流になってきた背景には、顧客にまつわる様々な情報を収集、分析する技術が発達したことが挙げられます。戦略的に複数のWEBマーケティングの手法を併用し、ターゲットへのリーチ範囲を更に広げて見込み客(リード)獲得に繋げましょう。そうすることで、より精度の高いデータ収集や分析が可能になります。また、集まった見込み客(リード)情報をSalesforceの「リード」でリードナーチャリングを行いつつ管理すれば、セールス担当はより確度の高い顧客や高度な提案が必要な顧客対応に集中できるようになります。
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