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Salesforceのキューとは?使えるオブジェクトやメリットを紹介

2024年07月09日

  • Salesforce
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  • マーケ知識
  • 使い方

はじめに
セラクCCCのSalesforce推進部のNです。Salesforceを利用して業務の効率化を図る企業が増えていますが、なかでも注目されている機能のひとつにキューがあります。

本記事では、Salesforceにおけるキューの基本的な概念から、使用できるオブジェクト、メリット、使い方や設定方法までをわかりやすく解説します。

 

Salesforceのキューとは?

キューとは一般的に、特定の業務を処理するためにレコードが一時的に格納される場所を指しますが、Salesforceのキューは「ユーザのグループ化」と考えるとわかりやすくなります。

ここでは、一般的なキューの概念と、Salesforceにおけるキューについて解説します。

 

そもそも「キュー (Queue)」とは?

キュー(Queue)とは、元々「順番を待つ人の列(待ち行列)」を意味します。ITやプログラミングの用語として使用する際は、処理待ちのデータが一時的に保管される場所を指します。キューに保存されたデータは「先入れ先出し(FIFO: First In, First Out)」の原則に従って処理されます。

つまり、最初にキューに追加されたデータが最初に取り出されます。これを理解するための簡単な例として、店の入り口でできる行列を想像してみてください。列の先頭にいる人が最初に店に入り、最後尾に並んだ人が少しずつ前へ進んでいくのと同じです。

 

キューにデータを追加する操作を「Enqueue(エンキュー)」といい、これはキューの最後尾に新しい要素を加えることを指します。

一方、キューからデータを取り出す操作は「Dequeue(デキュー)」と呼ばれ、キューの先頭からデータを取り出して削除するプロセスです。

 

Salesforceのキューは「グループ化」という意味

Salesforceのキューは、レコードやタスクを共有するために、特定のユーザをひとつのグループとしてまとめる機能です。複数のユーザをグループ化することによって、たとえばチームや部署に割り当てられた作業を効率的に管理できるようになります。

キューを使用することで具体的には、オブジェクトに対して以下の操作を実行することが可能です。

 

  • ・レコードの優先づけ:重要なタスクや取り組むべき項目に優先順位をつけて、作業を効率的に進められるようにします。
  • ・レコードの配布:チーム内のメンバー間で作業を分配して、バランスよくタスクを割り当てられるようにします。
  • ・レコードの割り当て:設定した条件に従って、レコードを自動的に割り当てます。

 

キューは、Unlimited EditionやEnterprise Edition、Professional Editionなど、Salesforceのほとんどのエディションで使用することが可能です。

キューを活用すれば、業務プロセスの管理がよりスムーズになり、チームワークの強化を図れます。

 

Salesforceのキューを使うメリット

Salesforceでキューを利用すれば、チーム内で効率的に業務を分担できるようになります。たとえば、新たなタスクや更新が発生した場合、対象レコードをキューに割り振れば、最適な人員が迅速に対応できます。

その結果、顧客に対するレスポンス時間が短縮するだけでなく、サービス品質の向上も期待でき、最終的には顧客満足度の向上につながります。

 

キューを利用することによって、誰がどのタスクに取り組んでいるかが明確化され、業務の透明性も向上します。効率的な業務分担が行われるようになるため、一部のメンバーに負荷が偏ることを防げます。

さらに割り当てルールや自動化機能を駆使すれば、キューで指定したメンバーにアクションを促す、レコードの自動振り分けを行うといったことも可能です。

 

キューを使えるSalesforceのオブジェクト

Salesforceのキューを利用できるオブジェクトとしては以下のものがあります。

 

  • ・リード
  • ・ケース・注文
  • ・連絡要求
  • ・サービス契約
  • ・ナレッジ記事
  • ・ToDo
  • ・カスタムオブジェクト

 

リード

リードとは、潜在的な顧客や商談の可能性がある個人・組織のことです。具体的には、資料請求をしてくれた顧客や、展示会などで名刺交換をした顧客がリードに該当します。Salesforceでリードオブジェクトにキューを利用すれば、リードに対するフォローアップや情報の提供など、適切なタイミングで適切なアクションを実行できます。

たとえば、すべてのリードをキューに割り当てて、チームの営業マネージャーが順次、担当者に振り分けて、通常では担当者のいないエリアのリードをキューに割り当てて、担当顧客が少なく比較的余裕のあるメンバーが対応といったことも実現できます。

 

ケース

ケースは、顧客からの問い合わせなどで、サポートが必要なリクエストを管理するためのオブジェクトです。キューの使用により、これらの問い合わせをチーム内で効率的に分配し、各メンバーが専門性を活かした対応が可能です。

たとえば、専門的な内容の問い合わせはテクニカルチームをキューに割り当てる、チームにキューを割り当てて、チーム内で手が空いている人から順番に問い合わせ対応が行えるようにします。顧客の回答待ち時間を最小にしたうえで、的確な回答の提示が可能になるため、顧客満足度の向上にもつながります。

 

注文

注文は、顧客による商品やサービスの注文情報を記録するためのオブジェクトです。注文された数量や価格、注文日、注文に関する注意事項など、さまざまな情報を管理できます。キューを活用することで、注文処理が複数の担当者で共有され、迅速な対応を実現できます。

 

連絡要求

連絡要求は、顧客やリードからのリクエストを管理するためのオブジェクトです。顧客がオンラインフォームに入力して、連絡を希望した場合には、連絡要求オブジェクトにレコードが登録されます。

キューを用いれば、リクエストをチーム内で割り振り、適切かつ迅速に対応できます。連絡を希望する顧客の待ち時間をなくし、クレームの減少や顧客満足度の向上が期待できます。

 

サービス契約

サービス契約は、顧客との間で合意されたサービスレベルや条件を管理するためのオブジェクトです。カスタマーサポートの登録内容や契約したサービスレベルなどがサービス契約オブジェクトに登録されます。

キューによって契約の条件を監視し、必要に応じて対応するチームメンバーを割り当てられます。

 

ナレッジ記事

ナレッジ記事は、製品やサービスに関する情報、FAQ、解決策などを提供するためのコンテンツ管理オブジェクトです。

キューを使うことで、記事のレビューや更新を複数の担当者で分担できるようになり、情報の正確性や最新性を保てます。

 

ToDo

ToDoは、個人やチームのタスク・活動を追跡するためのオブジェクトです。ToDoをキューに割り当てることで、個人でタスクを抱え込むことがなくなり、チームでの対応が可能です。

それぞれのメンバーが得意な分野のタスクを受け持つ、困難なタスクをチーム内のベテランメンバーが受け持つなど、チーム内で協力してタスクに対応できます。

 

カスタムオブジェクト

Salesforceでは、企業のビジネスニーズにあわせて、独自のカスタムオブジェクトを作成することが可能です。カスタムオブジェクトにもキューを適用できます。

カスタムオブジェクトにキューを活用すれば、自社のビジネスプロセスをカスタマイズして、効率化を図れます。

 

Salesforceでのキューの使い方

Salesforceのキューは、リードやケースなどへのユーザ(担当者)の割り当てに有効です。通常、リードやケースなどのオブジェクトでは、キューに指定された条件によって自動的に担当者が割り当てられます。

しかし、すべてのリードやケースに対して、該当する担当者が存在するわけではありません。条件に当てはまらず、担当者が存在しない場合もあります。たとえば、自社製品ではない商品に関する問い合わせや、日本国内しか拠点のない企業に海外から問い合わせが入る場合です。このような状況では、ToDoなどにキューを割り当てて、あとからマネージャーが適切な担当者を割り当てるようにします。

担当者の不在によってリードが放置されたり、問い合わせに対する回答に長い時間がかかったりしないよう、マネージャーは配慮する必要があります。適切な担当者が見つからない場合には、オブジェクトをクローズします。

 

冒頭で述べたように、Salesforceのキューはユーザをグループ化するものであり、キューとToDoなどを割り当てられる公開グループとは一見、似たものに見えます。しかし、両者は異なります。グループは複数のユーザを管理するために管理者が作成し、グループ内のすべてのユーザがレコードを共有できます。

ただし、レコードの所有者を変更することは管理者以外できません。キューも同様にユーザがレコード共有できますが、なおかつユーザがレコードの所有者を変更することが可能です。担当者の割り当てなどに関しては、キューは公開グループに比べて、より機動的に対応できます。

 

Salesforceでのキューの設定方法

キューはさまざまなオブジェクトで活用できます。ここでは、ケースオブジェクトでキューを利用する場合の設定方法を解説します。

 

1. キューを設定する

まず、新しいキューを作成します。キューの作成は「設定」で行えます。作成したキューには「クレーム対応」や「問い合わせ返信」など、適当な名前をつけておきます。詳細な手順は以下の通りです。

 

  • 1. Salesforceのホーム画面から「設定」へ移動します。
  • 2.「ユーザ」内にある「キュー」を選択します。
  • 3.「新規」ボタンを押し、新しくキューを作成します。「キュー名」には、目的に応じてわかりやすいものを設定します(「クレーム対応」や「問い合わせ返信」など)。
  • 4.キューに割り当てるオブジェクトを「利用可能なオブジェクト」から選択します。ここでは「ケース」を選びます。
  • 5.キューメンバーを指定します。キューに割り当てるユーザを「選択可能なユーザ」から選択します。
  • 6.最後に「保存」します。

 

以上で、ケースオブジェクトでキューが利用できるようになります。

 

2. 割り当てルールを作成する

作成したキューをケースオブジェクトで利用するには「ケースの割り当てルール」を作成する必要があります。作成手順は以下の通りです。

 

  • 1.「設定」の「サービス」内にある「ケースの割り当てルール」を選択します。
  • 2.「新規」ボタンを押し、新しく割り当てルールを作成します。ルール名には「クレーム対応」や「問い合わせ返信」など、適当な名称を設定します。
  • 3.ルール名を設定したら「保存」します。
  • 4.作成したケースの割り当てルールを一覧からクリックすると、詳細が表示されます。
  • 5.「新規」ボタンを押し、新規のルールエントリを作成します。
  • 6.ルールの適用条件を指定します。ケースの特定の項目、演算子、値をもとに条件を設定します。
  • 7.ケースに割り当てるユーザを設定します。キューを活用したい場合は「ユーザ」から「キュー」に変更し、割り当てたいキューを選びます。
  • 8.最後に「保存」します。

 

これらの設定を行うことで、ケースは自動的に適切なキューに割り当てられます。

条件に合致するケースが発生した場合には、指定したキューに属するユーザによって迅速に対応されます。

 

まとめ
Salesforceのキュー機能は、リードやケースなど、さまざまなオブジェクトで利用でき、チームワークによる効率的な業務を促進する、強力なツールです。しかし、Salesforceの設定や運用は複雑で、独自に対応するのが困難な場合もあります。自社では難しいなと感じたらセラクCCCにご相談ください。

 

セラクCCCはSalesforce定着・活用支援トップクラスの公式コンサルティングパートナーとして、全国400社(2024年6月時点)を超える実績と300名(2024年6月時点)を超える専門コンサルタントが在籍しており、内製化支援をはじめ複合的なクラウド活用のご提案が可能です。Salesforceの定着・活用支援や運用支援、トレーニングサービス、常駐・リモート支援など、さまざまな課題に対応できるサポート体制があります。Salesforceでのお困りごとがありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談から、ぜひお問い合わせください。他にもオブジェクトについて解説しているこちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」もあわせて活用ください。

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