コラム詳細
はじめに
セラクCCCのSalesforce推進部のNです。Salesforceには多彩な機能があるため、便利である一方、使いこなすのが難しいと感じる方もいます。データ構造を可視化する「オブジェクト構成図」を作成すれば、Salesforceの活用が容易になります。
本記事ではオブジェクト構成図の概要やメリットや作成時のポイントなどを解説します。
※オブジェクトについて詳しく知りたい方は、こちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」もご活用ください。
「オブジェクト」とは、IT用語で「データの集合体」という意味です。Salesforceでも同様、種類ごとに分けられたデータ群をオブジェクトと呼びます。
以下では、オブジェクトを活用するために必要な「オブジェクト構成図」についてまとめました。
<オブジェクト構成図の例>
オブジェクト構成図とは、それぞれのオブジェクト間における関連性を図で表したものです。Salesforceのオブジェクトには「主従関係」「参照関係」などのリレーションがあり、異なるオブジェクト同士を紐づけられます。
データの一元管理や、異なるオブジェクトに格納されたデータの集計などさまざまなメリットがあるものの、構造が複雑になりやすい課題も見受けられます。
オブジェクト構成図の役割は、複雑になりやすいオブジェクト間の関連性を可視化することです。どのオブジェクトを利用しているか、どのようなデータを入れているか、オブジェクト同士にどのようなつながりがあるかなどを明記することで、誰でもひと目で関連性を理解できるようになります。
オブジェクトについてはこちら(Salesforceのオブジェクトとは? 概要や主要オブジェクトについて解説)を参照ください。
Salesforceは顧客情報を管理し、営業活動の効率化を支援するプラットフォームです。営業活動全般をサポートするさまざまな機能を備えており、企業にあわせてカスタマイズできるなど性能の高さが人気を集めています。
しかし先述のとおり、機能の多さがかえって障壁となり、データの流れや関連性が複雑になるケースも少なくありません。
はじめてSalesforceを使用する人やITの知見が浅い人などは、使いこなすのが難しいと感じる可能性もあります。
オブジェクト構成図を作成する目的は、Salesforce内に格納されているデータ構造を整理し、明確化することです。
オブジェクト構成図を見ればSalesforce内にあるデータの状態を誰でも把握でき、ブラックボックス化を防ぐこともできます。
オブジェクト構成図を描く5つのメリットについて解説します。
オブジェクト構成図で複雑なデータ構造を整理することで、わかりやすく伝えられるメリットがあります。
「オブジェクト」は「項目」「レコード」という2つの要素で構成されています。項目はデータの要素、レコードは項目ごとのデータです。
これらの言葉の関係性を把握するには、Excelの表をイメージするとわかりやすいでしょう。
たとえば、さまざまな取引先に関する情報をExcelの表にまとめるとします。取引先の表を書いたシートが「オブジェクト」です。取引先名、所在地、責任者、電話番号などデータの種類が「項目」、○○株式会社、東京都○○区…ビル○階、といったデータの内容が「レコード」です。
新規の取引先が増えるたび、レコードにデータを追加していきます。オブジェクトには営業活動に応じて多くのレコードが格納されます。
作成されるオブジェクトの数が増えれば扱うデータの種類も増え、どこに何のデータが入っているか、どのような関係性があるかなどを把握するのが難しくなるでしょう。オブジェクト内のデータを適切に管理するためにも、オブジェクト構成図の作成は重要です。
オブジェクト構成図があると、影響範囲を把握しやすくなるのもメリットです。異なるオブジェクトで共通の項目がある場合、片方の項目をそのまま反映するなどデータを紐づけられます。
しかしデータを紐づけると、親オブジェクトの設定がそのまま子オブジェクトに反映されるなど、設定の影響範囲が変わる可能性があります。
そのためどのオブジェクト同士が紐づいているのか、設定変更がどのオブジェクトに影響するのかなど明確でないと、データを最適に管理できません。オブジェクト構成図を描くことで設定変更によるミスを防ぎ、データの正確性を確保できます。
先述したようにSalesforceはさまざまな機能があり、使いこなすにはある程度のITスキルが必要です。
導入したものの「教育が行き届かず、一部の従業員しか操作できない」「説明が難しく、認識の行き違いが生じてしまう」などの失敗は少なくありません。
オブジェクト構成図を描くことで、すべての従業員がSalesforceに格納されているデータを把握できます。ITスキルの有無に関わらず、従業員が同じ目線でコミュニケーションを取れるようになり、導入をスムーズに進められるでしょう。
体制変更や辞任などで担当者が変わる場合、後任者はマニュアルを読んでSalesforceを一から理解しなければなりません。
後任者に多くの負担がかかり、引継ぎに時間がかかる可能性があります。
また、企業によっては「IT関連の業務が属人化している」「引継ぎの時間を十分に確保できない」などの問題を抱えているケースもあります。そのような場合、後任者が現状を理解できず、Salesforceをうまく使いこなせない失敗も発生しかねません。
あらかじめオブジェクト構成図を用意しておけば、引継ぎによるトラブルの発生や急な人事異動があった場合でもスムーズに対応できるでしょう。
Salesforceには蓄積したデータを絞り込みグラフなどにまとめるレポート機能や、レポートを集約して1つにまとめるダッシュボード機能などがあります。
それらを作成するときは、どこからどのデータを抽出するのかをあらかじめ確認しなければなりません。あらかじめオブジェクトの関連性を理解していればスムーズに作業を進められます。
またSalesforceはExcelなどからデータのインポートが可能です。ただしデータの確認作業や手動での紐づけなどが必要となる可能性があり、あらかじめデータ構造の理解が必要です。オブジェクト構成図を用いてデータの洗い出しを行うなど、しっかりと事前準備を進めておきましょう。
オブジェクト構造図を作成するには「Salesforce DevTools」というGoogle Chromeの拡張機能を利用します。
以下では、Salesforce DevToolsでオブジェクト構成図を作成する方法をご紹介します。
「Salesforce DevTools」とは、Salesforceの開発者向けに提供されているGoogle Chromeの拡張機能です。
Google Chromeを使用している人であれば誰でもインストールが可能で、無料で利用できます。
Salesforce DevToolsの特徴はSalesforce開発を効率化し、作業時間を短縮できることです。単純作業の自動化や必要なデータの抽出と、スムーズに開発を進められる便利な機能がそろっています。
なかでもオブジェクト構成図である「ER図」を自動生成できることから、Salesforce利用者の多くが使用しています。
Chromeウェブストアの概要によると、Salesforce DevToolの主な機能は以下のとおりです。
出典:Chromeウェブストア
オブジェクト構成図を生成するときに使用するのは、「Salesforceデータモデル(ER図)の自動生成」です。通常であれば、開発者はオブジェクトに含まれるデータや関連性などを確認し、手作業で構成図を作成しなければなりません。
複雑なデータ構造を洗い出し、図にまとめるのは多くの手間や時間がかかるでしょう。Salesforce DevToolsを利用すれば、対象のオブジェクトを選択し、エクスポートするだけで容易に作成できます。
Salesforce DevToolsをインストールするには、まずChromeブラウザからChromeウェブストアにアクセスします。次にSalesforce DevToolsのページを開き、画面右上の「Chromeに追加」ボタンをクリックしましょう。
「『Salesforce DevTools』を追加しますか?」というモーダルウィンドウが表示されたら「拡張機能を追加」をクリックするとインストールが完了します。なお、拡張機能をブラウザにピン留めしておくと便利です。
次に、Salesforce DevToolsを使わず、手動でオブジェクト構成図を描くときのポイントを紹介します。
オブジェクト構成図を描くには、誰でもひと目でオブジェクトの関係性がわかるようにすることが大切です。まずは「リード」「取引先」など主要なオブジェクトを描き、関連性を明確にすることを意識しましょう。
左上に親オブジェクトを描き、右下に向かって子オブジェクトを広げていくとデータの流れを視覚的に把握しやすくなります。
専門用語は使わず、誰でも理解できるようなわかりやすい文字列・図式を使うとよいでしょう。たとえばオブジェクトに製品名称のみが記載されている場合、ITリテラシーの高い人や専門知識がある人でなければ、そのオブジェクトがどのような役割を果たしているかわかりません。
「ひと目でデータの流れを理解できるかどうか」に着目し、難しい名称は「見積もり」「価格」など役割に置き換えるようにします。またデータと処理で形を分けるなど、アイコンを使い分けると視覚的にわかりやすいオブジェクト構成図を作成できます。
オブジェクトを描き終えたら、それらを線でつないでいきます。線を書くときは、主従関係や参照関係など、オブジェクト同士の関連性・方向性を明確にしましょう。1つのオブジェクトに対して対応しているオブジェクトはいくつあるのか、対応関係がわかるようにしておくことも大切です。
そもそもオブジェクト構成図の目的は、格納しているデータ構造を視覚的にわかりやすく表現することです。必要な情報を盛り込むことは大切ですが、情報が詳細になりすぎて要点がわかりづらければ意味がありません。
必要に応じて情報を取捨選択し、シンプルなオブジェクト構成図を作成することを心がけましょう。
オブジェクト構成図を作成するとき、作業がなかなか進まない、トラブルが発生する場合は以下の方法を試すとよいでしょう。
Salesforceはデフォルトで用意されている標準オブジェクトに加えて、独自のデータを格納できる「カスタムオブジェクト」を作成できます。利用しているオブジェクトが増えると「オブジェクト名がわからない」「特定のレコードが格納されているオブジェクト名を知りたい」などの状況が発生することもあります。
Salesforceでオブジェクト名を一覧で確認するには、下記の手順を踏んでいきます。
インストール後、エラーが表示されてSalesforce DevToolsが使えないトラブルも見受けられます。
もしエラーを表すポップアップが表示されたら、以下の方法を試すとよいでしょう。
Salesforceのオブジェクト構成図とは、オブジェクト間の関連性を見える化し、誰でもひと目でわかるように図式したものです。
データを適切に管理しやすくなり、ブラックボックス化を防ぐ効果があるため、Salesforceを利用する際は作成方法を押さえておくとよいでしょう。
まとめ
Salesforceのオブジェクト構成図は、Salesforce内のデータの関係性を図で示すことで、複雑なデータ構造を容易に理解できるようにするツールです。これを利用することで、データ管理や操作がスムーズになります。Salesforceの使用に関して不明点がある場合は、セラクCCCへご相談ください。
セラクCCCはSalesforce定着・活用支援トップクラスの公式コンサルティングパートナーとして、全国400社(2024年6月時点)を超える実績と300名(2024年6月時点)を超える専門コンサルタントが在籍しており、内製化支援をはじめ複合的なクラウド活用のご提案が可能です。Salesforceの定着・活用支援や運用支援、トレーニングサービス、常駐・リモート支援など、さまざまな課題に対応できるサポート体制があります。Salesforceでのお困りごとがありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談から、ぜひお問い合わせください。他にもオブジェクトについて解説しているこちらの資料「オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順」もあわせて活用ください。
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