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Salesforce「アインシュタイン (Einstein)」とは? できることや種類、機能を解説

2024年07月09日

  • Salesforce
  • MA

はじめに
セラクCCCのSalesforce推進部のNです。Salesforceの営業活動支援に特化した顧客管理AI、アインシュタイン (Einstein)は、セールスやサービス活動を最も効果的に行えるような支援を通して、業務の効率化や生産性向上などに大きく貢献します。

本記事では機能の詳細や、どのような支援が可能なのか、価格などを解説します。

 

Salesforce「アインシュタイン(Einstein)」とは?

Einsteinとは、SalesforceのCRM(顧客関係管理)ツールに組み込まれている一連のAI(人工知能)機能です。このAI機能は、予測分析や自然言語処理などの技術を活用して、業務を効率的にサポートします。

Einsteinにより、ユーザは顧客データから有益な洞察を得ることができ、より効果的な意思決定が可能になります。

 

Salesforce「Einstein」の特徴

Einsteinは、セールス、サービス、マーケティング担当者のより効果的な意思決定をサポートする目的で開発されました。以下に、Einsteinの主な特徴を3つ紹介します。

 

・CRMの課題解決に特化している
EinsteinはSalesforceの「Sales Cloud」を含む様々な製品に組み込まれており、CRMのデータを活用して顧客の行動パターンを予測やビジネスプロセスを最適化します。これにより、企業は戦略的な意思決定を支援し、未来の予測が可能になります。

 

・セールス活動支援に特化している
Einsteinはセールスとマーケティングの効率を向上させるために、顧客への最適なアプローチ方法を提供し、ワークフローの自動化やリードの質、商談の成功確率を予測します。顧客情報の収集・更新を通じてサポートを提供し、業務の効率化や最適化を促進します。

 

・Salesforceユーザは誰でも利用できる
EinsteinはSalesforceのユーザなら誰でも容易に使用できます。従来のAI技術がプログラミングスキルを要求することが多い中、Einsteinは準備されたモジュールを組み合わせるだけで効果的に利用可能です。

これにより、技術的な専門知識がないユーザもAIの恩恵を受けることができます。

 

SalesforceのAI開発の歴史

Salesforceが現在、Einsteinという高度なAI機能を搭載しているのは、同社が長年にわたってAI技術の研究と開発に注力してきた結果です。

この取り組みは、同社の会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏が2014年に「SalesforceをAIファーストの企業にする」と宣言し、AI研究チームを設立したことから始まりました。この発表が、AI開発への本格的なスタートを切る瞬間でした。

 

続いて2015年、Salesforceは商談の成功確率を予測するAIモデルを開発し、これが「Salesforce Einstein」の初期バージョンとなります。2016年には、「Salesforce Einstein」と名付けられた製品が市場に投入され、最新の機械学習や深層学習技術を活用して、膨大なデータから予測や提案を行うことが可能になりました。

 

2018年には、AIの倫理的かつ人道的な使用を推進するための部署「Office of Ethical and Humane Use」を新設しました。この取り組みにより、信頼性の高いAI技術の利用が強化されました。さらに技術の進展を受けて、2023年には「Einstein GPT」という新たなサービスを開始し、AI技術が一層身近な存在となりました。

 

SalesforceのAI開発は10年以上にわたるもので、今日までに300以上のAI関連特許を取得し、227以上の研究論文を発表しており、この分野でのリーダーシップを確立しています。

 

Salesforce「アインシュタイン (Einstein)」ができること

SalesforceのAI機能「Einstein」の最大の強みは、CRMの課題解決に効果的なアプローチを提供することです。CRMシステムでは、通常、リード(見込み客)の属性や購買行動を基にスコアリングし、そのスコアに応じて営業の優先順位を決定します。

このスコアリングによって、高スコアのリードに対しては優先的に営業活動を展開し、効率的に業務を進めることが可能になります。

 

以前は、このスコアリングが営業の直感や経験に依存していましたが、顧客との接点が増える現代では、対面や電話だけでなく、ダイレクトメール、展示会、Webサイト、ソーシャルメディアなど様々なチャネルを通じてリードが獲得されています。

これにより、リードの獲得方法はより複雑で煩雑になっており、従来の方法では効率が悪くなっています。

 

Einsteinはこうした多様なチャネルからのリード情報をアルゴリズムを用いてスコアリングします。

これにより、営業の精度を向上させると同時に、より効果的で効率的なリードの育成(ナーチャリング)を行うことができ、販売機会の損失を防ぐことができます。

 

Salesforce「アインシュタイン (Einstein)」の種類

SalesforceのAI機能「Einstein」は、職種に応じた特化した機能を提供しており、その強みは分野によって異なります。以下では、セールス向けのEinsteinと、カスタマーサービス向けのEinsteinについて解説します。

 

セールス向けの「Einstein for Sales」

Einstein for Salesとは「Sales Cloud」用のAI(アドオン)で、顧客情報を一元管理し、セールスの業務を効率化します。このAIツールは予測AIや生成AIを活用して、以下のようなセールス活動を自動化し、サポートします。

 

・営業プロセスの自動化
顧客データを分析し、タスクや商談のスケジューリングを自動で行います。これによりセールス担当者は最適なタイミングで行動を起こせます。

また、見積書の作成や承認、セールスメールの送信、商談後のフォローアップなどが自動で行われ、営業活動のスムーズな進行を支援します。さらに、商談やタスクのリマインダー、必要なアラートの自動生成を通じて、セールス担当者が重要なタイミングを逃さないようにします。

 

・商談サポート
過去の商談データや顧客の行動データを分析し、商談の成功確率を予測します。これにより、セールス担当者はどの商談にリソースを集中すべきか判断できます。

また、商談の進捗を追跡し、必要に応じてリマインダーやアラートを提供することで、セールス担当者が重要な業務に集中できるようサポートします。さらに、顧客の商談に対する関心度を分析し、セールス担当者がどれだけの労力を投じるべきか、または関心の薄い顧客に対する戦略をどのように立てるべきかの洞察を提供します。

 

「Einstein for Sales」は、これらの機能により、セールスチームがより効率的かつ生産的に業務を遂行するための強力な支援を提供します。

 

カスタマーサービス向けの「Einstein for Service」

Einstein for Serviceは、Salesforceの「Service Cloud」向けのAIアドオンで、信頼性の高いカスタマーサービスの構築を支援します。このツールは、以下のような機能を提供しており、顧客対応の効率化と満足度の向上を図ります。

 

・対話型ボット
Einstein for Serviceに実装されている「Einsteinボット」は、顧客の問い合わせに自動で対応し、必要に応じて人間のオペレーターに引き継ぎます。

顧客の属性や選択肢に応じたシナリオを設定し、適切な回答を提供します。顧客からの情報収集も行い、データベースをリアルタイムで更新します。これにより、サービス担当者は常に最新の顧客プロファイルに基づいて、スムーズにコミュニケーションが行えます。

 

・予測
顧客の基本情報と過去のやり取りの記録を基に、次に必要なアクションを自動で提案します。たとえば、顧客の行動やフィードバックを分析し、離脱リスクが高い顧客を特定し、その防止策を提案します。

また、サービスリソースの使用状況を分析し、需要予測を行い、リソースの最適な配分を支援します。これにより効率的なサービス提供が可能となり、顧客満足度を高めることができます。

 

・コンテンツ生成
Einsteinは自然言語処理の技術を使用しています。そのため、顧客とのやり取りから話の内容を分析し、問いかけに対して適切な回答を示せます。

また、顧客の関心に応じて適切なコンテンツや資料を提供します。これによりサポート担当者は顧客の問題解決に向け、より適確なアプローチができます。

 

Salesforce「Einstein」の主な機能

SalesforceのAI機能「Einstein」は、CRMに特化した多様な機能を提供し、ビジネスプロセスの最適化を支援します。ここではEinsteinの主要な機能を解説します。

 

CRM Analytics(Einstein Discovery)

CRM Analyticsは、Salesforceの分析プラットフォームで、マーケティングや営業活動の成功を支援するために設計されています。この機能は外部データと組み合わせて使用され、ビジネスシナリオの提案、現状分析、そして未来の予測が可能です。

大量のデータから事実や原因を自動で分析し、明確に表示します。さらに、Salesforceと同じプラットフォーム上で使用できるので、データ管理が容易になります。

 

Einstein ボット

対顧客向けのAI式チャットボットです。これはCRMに基づいた対応を行えます。シナリオベースの会話だけでなく、担当者への会話内容の転送や、顧客情報に基づいて対話の内容を分析し、それに基づいて適切な調整を行うことも可能です。

 

Einstein予測ビルダー

Einstein上にあるデータを用いて予測モデルを作成できる機能です。ノーコードで容易に既存のデータ分析ができるので、従来のAIと比較しても使い勝手がよくなっています。

 

たとえば顧客の行動パターンや購買行動を分析し、個別のマーケティング戦略やキャンペーン、売上予測を行うことで、適切な在庫管理や需要予測に基づいた生産コントロールなどが可能です。

 

Einstein Vision

画像認識と画像解析モデルを構築できる機能です。画像内のオブジェクトを自動的に分類する、識別や特定を行うといったことが可能です。また、特定の領域を識別できるので、異常検知やセキュリティ管理にも利用できます。

未知の画像でも、すでに学習済みのモデルを基にした推測や判断ができます。これらの機能を利用することで画像検索や製品分類など、様々な用途に活用できます。

 

Einstein GPT

Salesforce社製のAIと、OpenAI社のChatGPTを統合した生成AIです。この技術は自然言語を理解し、顧客対応や文章生成、要約、音声変換、多言語翻訳を行えます。

 

Einstein Voice

Einstein Voiceは音声認識を活用して、ユーザの命令に基づいて特定のアクションを実行します。これにより、データ入力やダッシュボード操作が口頭で迅速に行え、生産性の向上につながります。

 

Salesforce「Einstein 」の費用

実際にEinstein を使用する際の費用について解説します。

 

Einsteinは、Salesforceの各サービスのアドオンとしてライセンスを追加することで、1ユーザあたり9,000円/月で利用できます。(30日間の無料トライアルあり)現在利用しているサービスによって、提供する内容が異なります。

 

①使用しているサービスが「Sales Cloud」の場合は「Einstein for Sales」
→1ユーザあたり9,000円/月(税抜)

 

②使用しているサービスが「Service Cloud」の場合は、「Einstein for Service」
→1ユーザあたり9,000円/月(税抜)

 

Einstein はCRMの課題解決に特化したAI機能群です。それらを活用することで、より幅広いセールス活動や効率的なサービス提供が可能になり、顧客満足度向上や売上拡大にも大きく役立ちます。

 

まとめ

Salesforceの「アインシュタイン (Einstein)」は、業務の自動化と効率化を実現する優れたAI機能群です。Einsteinを活用することで、タイムリーな営業活動やより戦略的なアプローチが可能になります。このシステムでは、データ予測機能により、成功確率の高い商談に注力できるほか、顧客の離脱を事前に予測し、適切な対策を講じることも可能です。Einsteinはあらゆる面で営業活動を支援してくれるAIですが、導入のハードルが高いと感じる方はセラクCCCのサポートを受けることをおすすめします。

 

セラクCCCはSalesforce定着・活用支援トップクラスの公式コンサルティングパートナーとして、全国400社(2024年6月時点)を超える実績と300名(2024年6月時点)を超える専門コンサルタントが在籍しており、内製化支援をはじめ複合的なクラウド活用のご提案が可能です。Salesforceの定着・活用支援や運用支援、トレーニングサービス、常駐・リモート支援など、さまざまな課題に対応できるサポート体制があります。Salesforceでのお困りごとがありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談から、ぜひお問い合わせください。また、こちらのセラクCCCのサービス資料も参照ください。

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