コラム詳細

Herokuの料金やできること、活用メリットなどを解説

2024年06月26日

  • Salesforce
  • MA
  • マーケ知識
  • 定着・活用

はじめに
セラクCCCのSalesforce推進部のNです。「Heroku」は、Webアプリ開発や運用を強力にバックアップしてくれるサービスです。本記事では、Webアプリ開発にHerokuを利用してみたいと考えている企業に向けて、料金体系やできること、活用するメリットなどを解説します。

 
※データドリブンにご興味のある方は、こちらの動画「データドリブンな営業の仕組み化の秘訣」をご視聴ください。

 

Herokuとは?

Heroku(ヘロク)は、クラウド上でWebアプリの開発から実行、運用までを一元管理できるPaaSです。Ruby、Java、PHPなど多様なプログラミング言語に対応しています。

 

Herokuはセールスフォース社の子会社であり、セールスフォース社はCRM(顧客関係管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援システム)など、企業活動をサポートする多様なクラウドツールを提供しています。

 

Herokuについてはこちら(Heroku(ヘロク)でWebアプリを開発・運用するメリット)を参照ください。

 

PaaSとは?

PaaS(パース)とは、「Platform as a Service」の略称で、インターネットを通じてクラウド上のプラットフォームを利用するサービスです。これにより、アプリやシステムの開発、デプロイ(公開)、テストなどが可能になります。

 

通常、アプリを開発して公開する際には、サーバやルータなどのハードウェアの導入、ネットワークの構築、仮想化環境の設定、オペレーティングシステム(OS)のインストール、データベースのセットアップなど、多くの準備が必要です。

 

PaaSを使用した場合、これらの開発環境をクラウド上で利用できるため、物理的なハードウェアの導入やOSのインストールが不要になります。そのため、環境構築のコストとメンテナンスの手間が大幅に削減されます。また、アプリ開発や運用にかかる費用を抑え、柔軟に作業を進められます。しかし、このサービスを最大限に活用するためには、開発ツールやプログラミング言語に関する専門的な知識やスキルが必要です。

 

Herokuでできることとは?

Herokuは、システムやアプリの開発環境を簡単に整えられます。ハードウェアの導入やOSのインストールなどの手間とコストを大幅に削減できるだけでなく、作業の自動化により簡単な操作でアプリを素早く公開できます。これにより、アプリの迅速な開発とデプロイが実現します。

 

Herokuの競合としては、「AWS(Amazon Web Services)」があります。AWSは200以上のさまざまなサービスを提供しており、広範な開発と運用機能のクラウド利用が可能です。

 

AWSとHerokuの違いは、対応しているプログラミング言語や提供される機能の範囲にあります。たとえば、AWSはC++やJavaScriptなど多数の言語に対応しているのに対し、HerokuはScala、Clojureなど8種類の言語に対応しています。また、AWSが多岐にわたる機能を提供しているものの操作が難しいのに対し、Herokuはよりシンプルで直感的に使えるインターフェースを保有しています。

 

料金体系においても差異があります。AWSは使用量に基づく従量課金制を採用しているのに対し、Herokuは月額制の料金システムを用いており、予算の計画やコスト管理がしやすいです。

 

Herokuの料金体系

Herokuを使用する場合、料金体系について理解することが重要です。

 

Herokuの無料プランは廃止

無料プランが廃止された主な理由は、不正使用や詐欺行為が増加し、セキュリティチームへの負担が大きくなったことです。無料で提供されていた「Dynos」「Postgres」「Data for Redis」の三つのサービスは段階的に終了しました。また、1年以上活動していないアカウントや関連ストレージも削除されています。かつては無料プランがHerokuの魅力の一つでしたが、現在はニーズに応じて選べる四つの有料プランへと移行しました。

 

Heroku四つのプランと料金

Herokuでは、「Eco・Basic」、「Standard」、「Performance」、「Private」という四つのプランが用意されています。これらのプランでは、利用時間に応じて秒単位で料金が計算され、前月に使用した分の料金が請求されます。

 

Eco・Basic
Ecoプランは月額5$で1,000dyno時間の利用が可能で、アプリのアイデアを試したい、アプリを断続的に運用したいといったシーンに適しています。このプランではDockerやGitでの公開が可能で、カスタムドメインの利用やOSの自動パッチ適用に対応しています。

 

BasicプランはEcoプランの機能に加えて、自動化された証明書管理や無料のSSLを提供し、時間あたり約0.01$、月7$を上限としています。

 

Standard
このプランには「Standard 1X」と「Standard 2X」の2プランが用意されています。いずれもBasicの機能を含み、アプリのスケーリングが容易です。また、サービスを停止することなくアプリを配備できるゼロダウンタイムデプロイにも対応しています。

 

1Xと2Xの大きな違いは、RAMの容量です。1Xは512MB、2Xは1GBのRAMを提供します。プロセスタイプ数はどちらも無制限で、カスタムドメインや無料SSL証明書などを利用できます。

 

料金は、1Xが時間あたり約0.03$、月の上限は25$です。2Xは時間あたりの料金が約0.06$、月の上限が50$と、1Xの倍となっています。本格的なビジネスアプリの開発や実行に適したプランです。

 

Performance
このプランは高トラフィックと低遅延が求められるアプリに適しています。Performanceプランはオートスケーリング機能を備えおり、Standardプランのすべての機能を含むだけでなく、Standard dynoと組み合わせて使用することもできます。

 

Performanceプランには「M」と「L」の2種類があります。MはRAMが2.5GBで、Lはより大容量の14GBのRAMを提供します。料金は、Performance Mが時間あたり約0.34$で、月の上限が250$です。一方、Performance Lは時間あたり約0.69$で、月の上限は500$です。

 

Private
Privateプランは、StandardやPerformanceプランよりも上位に位置し、高度な機能を備えています。このプランは、セキュリティが重要となるプライベートなアプリやシステムの開発、厳しい規制やコンプライアンスが求められるプロジェクト、または大規模な組織の共同プロジェクトに適しています。

 

Privateプランには、「S」「M」「L」の3種類があります。これらのプランはいずれも専用リソースとして利用でき、専用のプライベートネットワーク、世界6リージョンへのデプロイ、そして強化されたネットワークアクセス制御が特徴です。Private Sは1GB、Mは2.5GB、Lは14GBのRAMをそれぞれ提供します。

 

Privateと同様の機能を提供するShieldプランもありますが、こちらはとくに医療情報の収集や保護に関するアメリカのHIPAA法規に準拠している点が特徴です。Shieldプランにも「S」「M」「L」の3種類があり、それぞれのRAM容量はPrivateプランと同じです。

 

PrivateおよびShieldプランの具体的な料金については、公式サイトには記載されていません。詳細についてはHerokuの営業チームへの問い合わせが必要です。

 

Herokuを活用するメリット

Herokuはその豊富なアドオンによる高い拡張性と、アプリのスケーリングが容易である点が大きなメリットです。また、アプリの開発や実行に必要な多様な機能を提供しながら、使いやすいシンプルな操作性を保持しているのも魅力の一つです。

 

アドオンが豊富で拡張性が高い

Herokuのアドオンは、アプリに追加機能を提供するプログラムのことで、WordPressのプラグインと似た概念です。これにより、アプリの機能を拡張し、可能な活動範囲を広げられます。

 

Herokuには200種類以上のアドオンが用意されており、専用のマーケットプレイスで購入が可能です。新しいアドオンが継続的に追加されているため、開発者は常に最新のツールを活用でき、アプリの効率と機能を向上できます。

 

アドオンのインストールは非常に簡単で、ダッシュボードまたはコマンドラインインターフェース(CLI)からワンクリックで行えます。ダッシュボードではアドオンの稼働状況を確認でき、必要に応じて追加や削除も簡単にできます。これにより、気になるアドオンを試してみて、必要なければ容易に削除といったことが可能です。

 

スケーリングが容易

アプリの運用において、最適なパフォーマンスを維持することは非常に重要です。環境に問題が発生すると、アプリが正常に機能しなくなり、遅延や不具合が生じ、最終的にはユーザに不便をかけることになります。

 

このような問題を避けるため、アプリは使用状況に応じて適切にスケールアップ(増強)またはスケールダウン(縮小)する必要があります。

 

Herokuでは、このスケーリングが非常に簡単に行えます。ユーザはダッシュボードを通じて、必要なリソース量を簡単に調整できます。また、Herokuには自動スケーリング機能も装備されており、トラフィックの増減を自動的に検知し、必要に応じてdynoの数の調整を行えます。この機能を使用する際には、活用しているプランによって発生する追加料金に注意が必要です。

 

Heroku PostgresとSalesforceのデータを同期するメリット

Herokuの提供する「Heroku Postgres」は、管理が簡単なSQLデータベースサービスです。このデータベースをSalesforceと同期すると、データの管理が容易になります。

 

データの管理が容易

Heroku PostgresとSalesforceを同期すると、一つの場所からデータを管理できるため、データの整理が容易になります。通常はアプリのデータベースと社内データベースの二つを別々に更新して管理する必要がありますが、同期をすることで容易にデータの整理が可能です。

 

たとえば、一つのデータベースの情報を更新した場合、もう一つのデータベースも自動で更新されるため、更新作業のダブルチェックや再入力の必要はありません。これにより、時間の節約だけでなく、手入力によるミスも減らせます。

 

データを同期させることでどのデータにも迅速にアクセスでき、業務の効率が大幅に向上するだけでなく、情報の一貫性が保たれ、ミスのリスクも低減します。

 

アプリのバックエンドをSalesforceで管理可能

Salesforceと同期することで、別途バックエンド用のインターフェースを開発する必要がなくなります。Salesforceを利用することでデータベースの操作が直接可能になり、これにより開発の手間と時間が大幅に削減されます。

 

仮に新しいバックエンドインターフェースを開発した場合、担当者がその使い方を学ぶための時間が必要です。Salesforceを使ってアプリのバックエンドを管理すれば、担当者が新しいツールを学ぶ必要がなくなるため、時間とコストの節約につながります。

 

まとめ
Herokuはクラウド上でWebアプリの開発から実行、運用までを一元管理できるPaaSで、Salesforceとの同期も可能です。本記事ではHerokuの料金体系、PaaSの基本、利用メリット、競合との比較、Salesforceとのデータ同期の利点を詳しく解説しました。

 

Salesforceの活用において自社だけでの対応が難しい場合は、セラクCCCへご相談ください。セラクCCCはSalesforce定着・活用支援トップクラスの公式コンサルティングパートナーとして、全国400社(2023年5月時点)を超える実績と300名(2023年5月時点)を超える専門コンサルタントが在籍しており、内製化支援をはじめ複合的なクラウド活用の提案が可能です。Salesforceの定着・活用支援や運用支援、トレーニングサービス、常駐・リモート支援など、さまざまな課題に対応できるサポート体制があります。Salesforceでのお困りごとがありましたら、当社カスタマーサクセスチームの無料相談から、ぜひお問い合わせください。また、こちらのセラクCCCのサービス資料も参照ください。

Salesforceでお悩みなら、
まずはお気軽に
お問い合わせください

  • TOP
  • コラム一覧
  • Herokuの料金やできること、活用メリットなどを解説