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Salesforceの使い方と最大活用のために絶対やるべきこと

2023年06月13日

  • Salesforce
  • 使い方

はじめに

日本国内はもちろん、世界中のさまざまな企業が導入しているSalesforce。ただ、非常に多くの機能と拡張性を備えているため、使い方が今ひとつ理解できていない、何から手をつけていいかもわからない…というSalesforce管理者もいるのではないでしょうか。そこで今回は、Salesforceの基本的な使用方法や、最大活用のために絶対やるべきことについて解説します。

 

また、Salesforce(セールスフォース)の活用に関する重要なポイントを詳しく解説しているこちらの資料「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」と併せてご活用ください。

 

Salesforce(セールスフォース)の活用で何ができる?

Salesforceは、顧客情報を営業やマーケティングに活用するためのCRM(顧客管理)ツールと、顧客ごとの商談情報や営業活動データを蓄積できるSFA(営業支援)ツールの両機能を備えており、さまざまなシステムやツールとの連携も可能なクラウド型サービスです。
日常業務においてSalesforceを活用すべきシーンには、以下のようなものがあります。

 

正確な売上予測を立てたい

Salesforceのプロダクトの1つである「Sales Cloud」を活用することで、従来は営業担当者が個別に管理していた商談の進捗状況や売上見込みを、担当別あるいは部署全体でリアルタイム管理できるようになります。
上司が部下の売上予測を修正することも可能なので、よりシビアで精度の高い売上予測が立てられるようになります。

 

売上予測1
<売上予測1>

 

売上分析やレポートなどの営業資料を効率よく作成したい

営業会議用の資料を作成するには、データ集計や会議テーマに沿ったレポート作成など、時間と労力が必要です。
「Sales Cloud」を活用すれば、Salesforceに格納されているデータのうち、資料作成に必要なデータをドラッグ&ドロップするだけで、レポートやグラフとして表示できるようになります。AND/OR条件でフィルタリングすれば、より複雑な絞り込み表示も可能です。

 

レポート作成
<レポート作成>

 

顧客情報や営業活動情報を社内で共有したい

顧客情報は、企業にとっての財産です。Salesforceであれば、取引先企業の基本情報はもちろん、商談内容や取引実績、問い合わせ内容などもまとめて管理できるようになります。
それらの情報はモバイル端末からもアクセスが可能なため、訪問先の情報を正確に把握して営業活動に臨めます。
また、営業活動情報の記録をすることによりチームで進捗とタスクの管理ができ、営業効率を上げることにつながります。

 

リード獲得〜目標達成までを管理したい

セールスフォース社で活用されている「The Model」という営業プロセスモデルがあります。
簡単に説明すると、マーケティングでリード獲得をし、インサイドセールスで案件化し、フィールドセールスで受注し、カスタマーサクセスでLTVを最大化させるという営業プロセスモデルになります。
Salesforceと「Marketing Cloud Account Engagement(Pardot)」とを連携させることで、リード獲得〜LTV最大化に向けた目標達成までを可視化・数値化が行えるため、「The Model」のように管理が可能です。
また、日々増えるすべての見込み客に対してセールスアプローチをかけるのは、非効率であり経費のムダでもあるため、見込み客を自動的に評価して担当部署に情報を回し、適切にフォローする体制を確立できます。

 

Marketing Cloud Account Engagement(Pardot)
<Marketing Cloud Account Engagement(Pardot)>

 

Salesforce(セールスフォース)の基本的な考え方と主な機能

Salesforceは、日々の顧客や営業活動情報を収集し、一元管理され、分析されたデータをチームメンバーに共有・可視化することでデータドリブン営業を実現できるツールになります。
そのため、操作に関する機能やデータ管理のための構造をある程度理解していないと、とっつきにくい場合があります。Salesforce公式のヘルプページばかりでなく、同ソリューションを取り扱っているベンダーなども各種TipsをWeb上で公開しているものの、それらを読むためにも、用語の知識も必要です。
Salesforceを活用するうえで必要となる用語(機能やデータ)と構造について解説します。

 

理解しておきたい基本用語(機能やデータ)

リード
「リード(Lead)」とは見込み客を指す英語で、企業の製品やサービスに関心を示している人々のうち、アンケートなどの回答や名刺交換などで「接点」が発生した人のことです。接点が無い場合、リードとは見なしません。Salesforce活用の第一歩は、この「リード」に見込み客の情報を入力するところから始まります。

 

リード
<リード>

 

※リードに関する詳細は以下の記事で解説しています。
リード獲得とは?最適な施策やポイント、リードの管理方法を解説!

 

オブジェクト
Salesforceの「オブジェクト」をわかりやすくいうと、データの塊です。Salesforceで顧客情報を蓄積・管理する際、取引企業(あるいは個人)の基本情報はもちろん、商談の状況や成約実績などさまざまなデータを格納しますが、それらを「取引先」「商談中」など、使いやすいようにグループ分けしたものがオブジェクトです。

 

※オブジェクトに関する詳細は以下のホワイトペーパーで解説しています。
オブジェクトSalesforceの中でどんな役割?カスタムオブジェクト作成手順

 

レコード
前述したオブジェクトに蓄積されている大量のデータのうち、ある企業(あるいは個人)に関する入力情報を「レコード」と呼びます。Excelにたとえると、「顧客情報」というシートに入力されている大量の情報のうち、検索したい企業のデータが入っている「行」に該当するものと考えるとわかりやすいでしょう。

 

レコード
<レコード>

 

項目
レコードがExcelの「行」だとすると、項目は「列」にあたります。大量のデータにある「会社名」「担当者名」「住所」「電話番号」など、文字通り項目ごとのデータ群を指します。

 

項目
<項目>

 

ケース
ケースは、顧客からのお問い合わせや質問、フィードバックや問題を格納するレコードになります。内容は社内で共有され問題解決への検討につなげられます。

 

ケース
<ケース>

 

キャンペーン
Salesforceキャンペーンは、マーケティングイベント(Webサイトやメルマガなど)の情報を管理でき、リードや取引先責任者と紐づけることができるので、キャンペーンごとにマーケティング施策や効果検証を行えます。

 

キャンペーン
<キャンペーン>

 

レポート/ダッシュボード
レポートは、基本的に1つの「オブジェクト」を対象に、最大2,000件までのデータをリスト化して表示し、エクスポートを行えます。項目の数値を計算・分析することが得意で、たとえば「商談の所有者」ごとの合計金額を比較するなど、情報を詳しく分析したい場合に向いています。

 

レポート
<レポート>

 

ダッシュボードは、複数のレポートを元にした情報をグラフィカルに表示する機能です。多面的なデータ分析や俯瞰的な情報の把握に向いています。

 

ダッシュボード
<ダッシュボード>

 

※レポートの作成や活用方法は以下の記事で詳しく解説しています。
【解説】Salesforceレポート入門 使い方と作成のコツ

 

チャター
チャターは、Salesforce内に実装されている企業向けSNS・ビジネスチャットツールです。社員間のコミュニケーションに使われるほか、Salesforce内のレコードやファイルの更新を把握するなどといった使い方ができます。

 

チャター
<チャター>

 

※チャターの活用方法は以下の記事で詳しく解説しています。
Salesforceのチャター(Chatter)の使用・活用方法とは

 

ロール
Salesforceのロールとはレコードへのアクセス権限付与を効率化するための機能です。ロールを使ってアクセス権限の上下関係を設定すれば、上位ユーザが下位ユーザのレコードアクセス権限を自動的に共有できるため、個別に権限付与する手間を省けます。

 

ロール
<ロール>

 

※レコードのアクセス権限については以下の記事で詳しく解説しています。
Salesforceのアクセス権限を使いこなす2 ロール階層でレコードアクセス権を共有する

 

データローダ
データローダとは、Salesforceが提供しているクライアントアプリケーションであり、インポート(データの読み込み・取り込み)、エクスポート(データの書き出し)を行うためのツールです。

 

データローダ
<データローダ>

 

データローダの使い方については以下の記事で詳しく解説しています。
Salesforce「データローダ」の使い方やインストール方法は?

 

データの構造

Salesforceに入力した大量のデータは、「オブジェクト」としてグループ分けされ、蓄積されます。そのオブジェクトを構成する要素が「項目」であり、項目ごとのつながりをあらかじめ設定しておくことで、情報を連携させられます。
大まかに説明すると、入力データはそれぞれ「顧客関連」「活動関連」「担当者関連」の3領域に分けて記録され、それぞれが連携し合っている状態です。
たとえば、「リード」に入力した見込み客のうち、商談が行えそうな企業や個人の情報を「取引先」のオブジェクトに移動します。商談が開始したら、その進捗状況や商談の担当者名などを「商談」オブジェクトに登録し、情報同士の紐づけを行うことで、複雑な情報も簡単に管理が可能です。

 

Salesforce(セールスフォース)の基本的な使い方は?

Salesforceの基本的な使い方のうち、多くの企業にとって共通である「見込み客獲得~営業スタート」に関するものをピックアップしました。もちろん、紹介する使い方以外にも高度な活用法が多数ありますが、まずは基本的なものからマスターして、徐々にSalesforceに慣れていきましょう。

 

リード(見込み客)を獲得する

  • (1)展示会やイベント、Webページからの問い合わせや資料請求など、見込み客となる対象の個人情報や名刺を、どのような形で集めるのかを最初に決めておきます。
  • (2)集まった見込み客情報を、Salesforceの「リード」に登録します。その際、情報が展示会などで集まったのか、オンライン経由なのかが判別できるよう、キャンペーンなど関連項目と紐づけて登録することをオススメします。
  • (3)Webページ経由の問い合わせなどは、フローを一から作成するほか、作成していた既存のワークフローは「フローに移行」機能を使って簡単にフローに移行できます。Web上の問い合わせや資料請求フォームを自社サーバで運営している場合、標準機能の「Web-to-リード」を使い、「リード」への自動登録を行えます。

 

フローの作成
<フローの作成>

 

見込み客との関係を構築する(ナーチャリング)

  • (1)「リード」に登録された見込み客に対して、どのようなコンテンツ(メールやDM、パンフレットなど)を配信するかを決め、実際にコンテンツを作成します。メールの場合は、文面や件名、添付する資料の準備などです。
  • (2)配信するコンテンツがメールの場合、標準機能の「リストメール」を使って、指定したリストに対して一斉配信できます。1日あたり5,000通までの配信が可能で、メールが開封されたかどうかの確認もできます。

 

標準機能 リストメール
<標準機能 リストメール>

 

  • (3)前述の「Web-to-リード」機能を使ってフォームを作成すれば、メール配信後の効果測定が行えます。

 

営業リストを作成する

  • (1)営業活動の方針に合わせて、どのような切り口(地域別、年代別、訴求商品別など)で営業をかけるか決めてターゲットを選定します。
  • (2)標準機能の「レポート」を使ってリストを作成し、他の営業スタッフとリストを共有します。営業スタッフ以外がリストを閲覧できる状態にすることもできます。

 

標準機能 レポート
<標準機能 レポート>

 

標準機能「レポート」を使ってリスト
<標準機能「レポート」を使ってリスト>

 

  • (3)「Autobahn for AppExchange」などSalesforce専用のメール配信アプリを併用すれば、営業対象の関心度などに応じて自動スコアリングを行い、成約率が高そうな順にリストを並び替えることもできます。

 

営業の「活動記録」を作る

  • (1) 営業予定(日時、対象者、営業の内容)をSalesforceの「To Do」に登録します。Salesforceはモバイル端末でも活用できるため、営業予定時間の前に、スマホのアラートで通知する設定も可能です。

 

Salesforceの「To Do」
<Salesforceの「To Do」>

 

  • (2)実際に営業活動を終え、どのような話をしたのか、成約の見込みなどを「To Do」に追記し、ステータスを「完了」にします。
  • (3)商談の進捗状況を「商談」などのレコードに記録し、営業スタッフ同士で情報共有できるようにします。「具体的な商談が行えたら、リードを「取引先担当者」に移動する」などの社内ルールを作っておけば、よりタイムリーな営業活動を行えます。

 

Salesforce(セールスフォース)を最大活用するために絶対やるべきこと

Salesforceを最大限使いこなすには活用の定着(データの蓄積)が一番重要です。それにより顧客情報の詳細な管理・分析が可能となり、商談成約率の向上などデータドリブンな営業活動が実現します。また、顧客ニーズや不安材料なども把握することによって、業務改善や商品開発などにも結びつきます。
Salesforceは、蓄積したデータを連携させ、業務に活かすことによって導入効果が現れるツールです。そのため、一定量のデータが蓄積されるまでは効果が現れず、直ちに売上がアップすることもありません。
また、導入当初は入力すべき情報量が多く、スタッフの業務負担が従来以上に増えることになります。そのことがスタッフのモチベーション低下の要因とならないよう、導入の目的を明確にして全社的なコンセンサスを得るなど、使いこなすための「土台」を作っておくことが重要です。
そのために利用開始時には、Salesforceの活用がしっかり定着(データが蓄積)するよう、行うべきことがあります。
とくに重要なのは、以下の3点です。

 

  • ① 明確な目標を設定する
    まずは目標を設定することです。この目標には営業戦略としての数値目標と運用目標があります。たとえば、営業の数値目標は今期の獲得案件数などになります。運用目標はその数値を達成するためにSalesforceの活用機会(ログイン回数や営業活動情報の記録回数など)を数値で具体的に設定するのがポイントです。
    明確な目標を営業チームで共有・浸透させることで、目標達成に向けてチーム一丸となって取り組めるようになります。
  • 運用ルールを設定する
    次に運用ルールの設定です。たとえば、「誰が」「いつ」「どういう目的」で入力するか、チェックするかというフローや具体的な入力(更新)情報などの設定になります。ルール設定の際に使用するスタッフの意見を反映させることが重要です。現場の業務内容を踏まえたルールにすることで業務負荷を軽減でき、その結果Salesforce活用の定着(データの蓄積)につながります。
  • ③ データの入力を確実に行ってもらう
    前述のように、一定量のデータが蓄積されるまではSalesforceの真価も発揮されないので、データ入力に関するルールを作っておくことが重要です。
    とくに、「○○の事案については当日中に入力」など、データ入力のタイミングをあらかじめ決めることがオススメです。データが常に最新の状態でなければ、時宜に適った効果的なセールスアプローチが出来ないからです。
    入力項目をきちんと決めておき、個人の感覚で不要なデータまで入れないようにしておくことも重要といえます。入力データの粒度が揃っていなければ、正確な売上予測などが困難になるためです。

 

売上予測2
<売上予測2>

 

なお、最低限必要になる主なデータとしては以下になります。

 

  • ・ログインするユーザとユーザのアクセス権
  • ・会計年度
  • ・取引先企業名
  • ・顧客データ
  • ・取引先担当社員
  • ・商談状況
  • ・行動スケジュール
  • ・TODO

 

この他にも、上司が率先して活用するよう務める、社内での定着・活用を推進するための責任者を決める、導入当初は積極的に活用しているスタッフへのインセンティブを設ける…などさまざまなやり方があります。自社の業種・業態や企業規模に合わせた工夫が重要です。

 

あなたの会社は、Salesforce(セールスフォース)の活用が定着(データが蓄積)していますか?もし、少しでも不安があるなら「Salesforceを活用で最初に絶対やるべき4つのポイント」をご活用ください。

 

まとめ

多彩な機能を有し、フル活用することで多くのメリットを生むSalesforceですが、多機能な分だけ、導入当初のハードルも少なからず生じます。
Salesforceの使用方法や定着支援などのお困りごとがございましたら、ご相談ください。当社には300名(23年5月時点)を超える専門コンサルタントが在籍し、それらの問題を解決するため、お客様の視点に立ってSalesforceの定着・活用支援サービスを行っています。導入当初の活用法などについても、当社カスタマーサクセスチームの無料相談からお問い合わせください。

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