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セグメンテーションとは?ターゲティングとの違いや分類基準、事例について解説

2025年04月09日

  • BtoBマーケティング
  • MA
  • マーケ知識

はじめに

ITが進化して、顧客のニーズが多様化するなか、マーケティング戦略を練るうえで重要なのがセグメンテーションです。
本記事では、セグメンテーションの意味と重要視されている理由、ターゲティングおよびポジショニングとの違い、分類における4つの基準や評価指標について解説します。

 

セグメンテーションとは

日本語で「区分」を意味するセグメンテーション(Segmentation)は、マーケティングにおいては、企業がユーザや消費者のニーズを正しく把握し、適切な商品やサービスを提供するために、顧客やユーザを細分化するプロセスのことを指します。年齢や性別といった属性、あるいは購入履歴などにもとづいてユーザ・消費者を分類し、商品やサービスのターゲット層を明確にする目的で行われます。セグメンテーションを行うことによって、ターゲティングやポジショニングの向上が期待できます。

 

セグメンテーションはSTP分析のひとつ

STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったもので、これら3つのプロセスで構成される代表的なフレームワークのひとつです。アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー氏が1960年代に提唱し、現在でも広く使われています。
STP分析によって市場のニーズを把握し、ターゲットを特定することで、業界における自社のあり方やアピールすべきポイントが明らかになります。自社の方向性が明確になれば、効果的なマーケティング戦略を策定・実行が可能です。新規事業はもちろん、既存の商品やサービスにも適用できる分析手法です。

 

ターゲティング

ターゲティングとは、セグメンテーションでグループ化した顧客やユーザを、自社の商品やサービスの販売先として選定するプロセスのことをいいます。この際には、自社の商品・サービスのよさが十分に発揮されるのか、自社のブランドイメージに合っているのかといったことも考慮する必要があります。ターゲティングで用いられる主な手法としては、

 

  • ・集中型マーケティング:市場を絞って、特定のユーザにアプローチする
  • ・差別型マーケティング:細分化された各市場に対して、それぞれのユーザのニーズに合った商品・サービスを提供する
  • ・無差別型マーケティング:さまざまな市場に同じ商品・サービスを提供する

 

といったものがあげられます。

 

ターゲティングについては、こちら(ターゲットとセグメントの違いは?それぞれの定義と決め方・基準を解説)を参照ください。

 

ポジショニング

ポジショニングとは、ターゲティングで特定した顧客やユーザに対する自社の立ち位置を明確にするプロセスです。競合他社との関係も考慮に入れつつ、自社の適切な立ち位置を決めることが市場における優位性の確保につながります。このときに他社と比較するポイントは、商品・サービスの品質や価格、機能や認知度などです。何が競合他社と差別化できるポイントなのかは、さまざまなデータを見て精査する必要があります。そのほかに考慮すべきポイントとしては、ユーザのニーズや自社のブランドイメージなどがあげられます。

 

セグメンテーションが重要視されている背景

セグメンテーションは、消費者から選ばれる商品・サービスを提供するために必要な施策ですが、重要視されている背景としては、消費者ニーズの多様化、IT・テクノロジーの進化があります。
ここではそれぞれの背景について詳しく解説します。

 

消費者ニーズの多様化

不特定多数に向けた商品が大量に売れた時代とは異なり、現在は大衆向けのマスプロダクトがヒットしにくい状況になっています。SNSの台頭などによって、消費者の接することのできる情報量が以前に比べて格段に増えたことに加え、ライフスタイルの変化にともなって、消費者のニーズが多様化したためです。自社の商品やサービスに興味を向けてもらうには、ニーズがどこにあるのかを正確に把握する必要があります。特定のユーザに向けて効果的なアプローチを行うためにはセグメンテーションが重要です。

 

IT・テクノロジーの進化

IT・テクノロジーは加速度的に発展を続けてきており、セグメンテーションに関しても、一企業が容易に行えるようになりました。たとえば、SNSを通してターゲット層の購買に関わる情報を入手することも容易で、マーケティングツールの導入により、ターゲット層に向けて情報発信が可能です。現在、市場での優位性を確保するために必要とされているのは、セグメント(なんらかの基準でユーザをグループに分類したもの)の興味・関心や購買行動をリアルタイムで把握し、分析したデータを効果的なマーケティング施策につなげる取り組みです。IT・テクノロジーの進化は、セグメンテーションの重要度を高めています。

 

セグメンテーションの分類における4つの基準

消費者をセグメンテーションするには一定の基準が必要です。代表的な分類基準(変数)としては、「地理的変数(ジオグラフィック変数)」「人口動態変数(デモグラフィック変数)」「心理的変数(サイコグラフィック変数)」「行動変数(ビヘイビアル)」があげられます。それぞれの基準について詳しく解説します。

 

1. 地理的変数(ジオグラフィック変数)

セグメンテーションを地理的な要素で行う場合に使われます。具体的な例は以下の通りです。

 

  • ・世界の地域(ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど).
  • ・日本の地域、地方(東日本・西日本、沿岸部か山間部かなど)
  • ・人口密度(都市部か郊外か)
  • ・気候(気温・湿度、降雨量、積雪量など)
  • ・都市の規模(経済発展・開発の度合い)
  • ・文化や宗教(飲食やジェスチャーのタブーなど)
  • ・生活習慣(起床時間、住民同士の交流頻度など)

 

地理的変数(ジオグラフィック変数)は、食料品や衣料品、家電など、地域や生活習慣による影響を受けやすい商品を扱うのに適しています。

 

2. 人口動態変数(デモグラフィック変数)

客観的な属性でセグメンテーションを行う場合に用いられます。具体的な例は以下の通りです。

 

  • ・年齢・年代(20代、30代、40代など)
  • ・性別(男、女)
  • ・職業(農業、建設業、運輸業、飲食業、サービス業など)
  • ・学歴(高校、大学、専門学校、短大など)
  • ・所得(300万円未満、400万円未満、500万円未満など)
  • ・家族構成(独身か既婚か、子どもの有無など)
  • ・世帯人数(1人、2人、4人など)

 

人口動態変数(デモグラフィック変数)は容易に測定できるため、幅広い分野で活用されています。対象が外食や衣料品などの場合は年代や性別ごとにニーズが異なります。セグメントごとにアプローチ方法を変えることによって、より大きな効果が期待できます。

 

3. 心理的変数(サイコグラフィック変数)

消費者の心理や社会階層に着目してセグメンテーションを行う場合に使用されます。具体的な例は以下の通りです。

 

  • ・性格(内向的、社交的など)
  • ・趣味・嗜好、価値観(健康志向、外食好きなど)
  • ・社会階層(上、中、下など)

 

数値で示せる基準に比べると、個人の内面に関わるデータは容易に収集できません。サイトの履歴やアンケートなどを通して収集することをオススメします。ターゲットを絞ってアプローチすれば、消費者の興味を惹きやすくなるはずです。

 

4. 行動変数(ビヘイビアル)

ユーザの購買行動や知識に着目してセグメンテーションする場合の基準です。具体的な例は以下の通りです。

 

  • ・利用頻度(毎日、数日おき、季節ごとなど)
  • ・知識の程度(ほとんど知らない、よく知っているなど)
  • ・購入目的(自分で使う、保存用、人に勧めるなど)

 

ユーザを新規顧客やリピーターなどのセグメントにすれば、それぞれに適したアプローチを行えます。ユーザは自らの行動や知識に沿ってアプローチされるため、購買につながりやすく、売上の向上が期待できます。

 

セグメンテーションの評価指標(4Rの原則)

セグメンテーションは、消費者をただ細分化したのでは不十分です。評価するための指標には、以下の4つの頭文字を取った「4Rの原則」を使用します。
 

  • ・「Rank:優先順位」
  • ・「Realistic:規模の有効性」
  • ・「Reach:到達可能性」
  • ・「Response:測定可能性」

 
ここでは、それぞれの評価指標について詳しく解説します。

 

Rank:優先順位

複数のセグメントに対して、ターゲティングすべき層を決定しますが、その際にセグメントに優先順位をつけることがRankです。
Rankは、自社の経営戦略や事業目的との整合性、自社のリソースを利活用できるのか、競合他社に比べて優位に立てるかなどを考慮して決めます。

 

Realistic:規模の有効性

Realisticとは、各セグメントが自社に十分な利益をもたらす市場であるか否かを確認することです。
自社の経営戦略に合致するターゲット層が存在していたとしても、市場が小さければ、十分な利益が見込めない可能性があります。このような場合は、ターゲティングの対象から外すことが賢明です。

 

Reach:到達可能性

商品・サービスのプロモーションを実施する場合にはまず、実現可能かどうかを判断する必要があります。Reachとは、この際に以下の2点を確認することです。
 

  • ・各セグメントに自社の商品・サービスや情報を提供できるのか
  • ・提供できる場合の難易度はどの程度なのか

 
コストや広告手段などを考慮したうえで、いかにコストを抑えて売上を向上させられるかを検討します。

 

Response:測定可能性

Responseとは、以下の2点を確認することです。
 

  • ・セグメントの規模や購買力は測定することが可能か
  • ・マーケティング施策実行後のセグメントの反応を測定できるか

 
マーケティング施策を実施した結果、どの程度の効果が得られたのかを測定することが重要です。施策が購買行動につながったのかを確認することで改善点が明確になり、次の施策に活かせます。

 

セグメンテーションの活用事例

セグメンテーションはさまざまな企業が活用し、幅広い分野で成果を上げています。ここでは、学習支援サービス、飲食チェーン店、Webメディアでの成功事例を紹介します。

 

学習支援サービスでの活用事例

経済的事情や地理的条件によって教育格差が生じており、生徒・学生によって得られる教育機会が等しくはありません。こうしたセグメントに着目して、ある企業が事業化したのが学習支援サービスです。有名な講師を招いたオンライン授業動画や演習教材を低価格で提供しました。本サービスでは、スマートフォンやパソコンがあれば、学生は時間や場所に縛られることなく、何度でも受講することが可能です。蓄積された膨大なデータをAIで解析し、間違いやすい問題を繰り返し出題する、わかりやすい動画で提示することで、個人の習熟度に応じて効果的に学習を進められるように工夫されています。
現在は多くの高校で本サービスが導入され、授業の予習や復習に利用されています。オンラインコーチング、オンラインビデオは海外にも配信されており、今後も発展し続けることが期待されています。

 

飲食チェーン店での活用事例

ある飲食チェーン店では顧客の管理・分析にメンバーズカードを使っていましたが、顧客の属性把握や、ユーザへのアプローチ手段が十分ではないという課題を抱えていました。この課題を解決すべく実施された施策が、アプリの導入による顧客属性の把握と分析です。最後にアプリ決済をした日から何日間、来店していないのかを期間別にセグメント分けして、それぞれに適したメッセージやクーポンを配布しました。
ユーザの利用状況や属性の把握が容易になったことで、セグメントごとのユーザニーズに最適なアプローチを取れるようになり、アプリ決済の目標値を達成できました。本チェーン店にはユーザのニーズを第一に考えるマーケットインの発想があり、今後もアプリを通したセグメンテーションとターゲットに適した施策の実施を続ける予定です。

 

Webメディアでの活用事例

ある出版社では、メールマガジンの会員向けに最新情報や人気コンテンツのお知らせを配信していましたが、これを手作業で行っていたことに問題がありました。膨大な時間と手間が発生するためですが、この課題を解決したのがMAツールです。
全会員のサイトの閲覧・行動履歴を分析し、ビジネスやマネー、政治経済などの6つのカテゴリにセグメンテーションしたうえで、それぞれに属する会員の嗜好に合ったメールマガジンを毎朝、自動生成して配信するようにしました。さらにメールの配信は、AIで会員の行動を分析することによって、受信する会員が最適だと感じる時間に実行されるようにしました。これらの取り組みによって、メール開封率は5~7%、CTRは1.5~2%増加しました。同社では蓄積したデータを利用して、新規事業の開発も視野に入れています。

 

まとめ

STP分析のひとつであるセグメンテーションは、マーケティングの効率化に不可欠です。4つの基準や4Rの原則を理解したうえで、自社で活用しましょう。もし、自社では難しいと感じた場合にはセラクCCCにご相談ください。
セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert 認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のマーケティングを組織と人材の面から強力にサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください
また、お客様の状況に合わせて、リモートや常駐、運用の内製化など柔軟な対応が可能です。

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