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ポジショニングマップの作り方|手順や軸の決め方を解説

2024年10月22日

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はじめに
マーケティング担当者にとってポジショニングマップは、自社の立ち位置を明確にし、競合との差別化を図るうえで欠かせないフレームワークです。本記事では、ポジショニングマップの作り方の具体的な手順から、効果的な活用方法までを詳しく解説します。

 

ポジショニングマップとは

ポジショニングマップとは、縦軸と横軸から作られたマトリクス上に、自社の製品・サービスが市場でどのような位置にあるのかを視覚的に表現したものです。市場における自社の商品やサービスなどの優位性や弱点、競合との差別化ポイントが明確になるため、マーケティング戦略を立てやすくなります。

 

ポジショニングとは

ポジショニングとは、製品やサービスに関する市場での自社の立ち位置や、競合との差別化を明確にするマーケティング施策の一環です。具体的には、以下のような要素を考慮し、競合と差別化した自社の価値を顧客に打ち出すプロセスを指します。

 

  • ・顧客にとっての価値:自社の製品やサービスが顧客にどのような価値を提供するのか
  • ・競合との差別化:競合に比べて、どのような点で優位性があるのか
  • ・ターゲット顧客:どのような顧客層がメインターゲットなのか

 

適切なポジショニングを行うことで、マーケティング施策に一貫性を保てるようになります。自社のブランドイメージや他社との優位性を発揮できる立ち位置(ポジション)を確立することで、顧客が自社を選ぶ理由を明確にできます。

 

ポジショニングとターゲティングの順番

ターゲティングとは、細分化された市場のなかから、自社の顧客となり得るターゲットを選定し、マーケティング施策を立てることです。ポジショニングとターゲティングとは密接な関わりがあり、最初にターゲティングを、その後にポジショニングを行うという流れが原則です。ターゲティングによってターゲットを選定することで、ニーズの把握や効果的な差別化が可能になり、ポジショニングの精度を高められます。
一般的なターゲティングの方法は以下の通りです。

 

  • 1.市場セグメンテーション:共通の特徴をもつグループで市場を分割する
  • 2.ターゲット市場の選定:自社製品・サービスの強みを活かせるセグメントを選ぶ
  • 3.ターゲット顧客の定義:選んだセグメント内の具体的な顧客像を描く

 

ポジショニングマップの作り方

 

ポジショニングマップは、大きく分けて以下の5ステップで作成します。

 

  • 1.購買決定要因(KBF)を洗い出す
  • 2.マトリクスの縦軸・横軸を決める
  • 3.競合の情報を記入する
  • 4.自社と競合をマップに当てはめる
  • 5.他社と差別化できるポジションを検討する

 

1.購買決定要因(KBF)を洗い出す

購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)とは、顧客が製品やサービスを購入する際に重視する要素です。商品やサービスによってその要素は異なりますが、主に価格・機能・デザイン・実績・ブランドなどが該当します。KBFを洗い出すためには、以下のような方法があります。

 

  • ・顧客へのインタビュー調査
  • ・アンケート調査
  • ・既存の市場調査データの分析
  • ・販売員からのフィードバック
  • ・ソーシャルメディアの分析

 

複数の方法を組み合わせれば、より正確にKBFを洗い出せます。顧客によってどの要素を重視するのかは異なり、ターゲット層ごとに重要度の高いKBFを整理します。

 

2. マトリクスの縦軸・横軸を決める

次にマトリクスの縦軸・横軸を決定します。決めるポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

 

  • ・KBFのなかから重要度の高い項目を選ぶ
  • ・競合との差異が明確になる項目を選ぶ
  • ・顧客にとって価値のある項目を選ぶ

 

決定方法については、「ポジショニングマップ作成時の軸の決め方」の項で詳しく解説します。

 

3. 競合の情報を記入する

次に競合の情報を収集して、ポジショニングマップに記入します。この際の具体的な手順は以下の通りです。

 

  • 1.主要な競合をリストアップする
  • 2.各競合の製品やサービスについて、選んだ軸に関する情報を収集する
  • 3.収集した情報を表計算ソフトで一覧化する

 

競合の情報は、公式サイト・口コミ・SNSなどを駆使して、できるだけ客観的な情報の収集が必要です。商品やサービスのカテゴリーを表すキーワードで検索し、上位に表示される企業は主要な競合と判断して差し支えありません。

 

4. 自社と競合をマップに当てはめる

情報を記入できたら、以下の手順でポジショニングマップに当てはめます。

 

  • 1.グラフを作成できるツール(ExcelやPowerPointなど)を使用してポジショニングマップの枠組みを作る
  • 2.縦軸と横軸にラベルをつける
  • 3.自社と競合の情報を当てはめる

 

マッピングが完了したら、競合や配置の偏りを確認します。たとえば、似たような位置にある製品・サービス同士は直接的な競合です。逆にポジショニングマップ上で、軸同士の関係性が薄い空白部分は、ポジション獲得のチャンスであると判断できます。

 

5. 他社と差別化できるポジションを検討する

最後のステップが戦略の検討です。具体的には、以下の3つの視点から検討しましょう。

 

  • ・現在の位置の評価:自社の位置取りが最適かどうか
  • ・差別化の可能性:競合が少ない領域に移動して差別化を図れないか
  • ・市場機会の発見:マップ上の空白領域で新たな顧客層を開拓できないか

 

これらを考慮したうえで、価格やブランディング、新製品の開発などを行います。ただし、実際の施策にはコストがかかります。マッピングの段階で情報の見落としがある、軸が市場ニーズから外れていると、十分な成果が得られず、損失だけが残ってしまう可能性があります。そのため、ポジショニングマップは複数の軸で作成し、市場を多角的に分析することが重要です。市場環境の変化に応じて定期的にマップを更新し、戦略を見直していく必要もあります。

 

ポジショニングマップ作成時の軸の決め方

ポジショニングマップの効果は、選択する軸によって大きく左右されます。効果的な戦略立案につなげるためには、適切な軸を選ぶことが必要です。具体的には、以下の3点が挙げられます。

 

  • ・ユーザが重視する項目
  • ・自社の強み
  • ・競合の強み

 

ユーザが重視する項目

軸として重要なのは、ユーザが製品やサービスを選ぶ際に重視する項目です。この項目を軸にすることで、顧客視点で市場を分析できるようになります。たとえば、スマートフォン市場であれば、バッテリー持続時間やカメラ性能、価格やアフターサービスの質といった軸が考えられます。購買決定要因(KBF)として洗い出された要素をもとにユーザ目線で情報をピックアップし、どの要素が購買の意思決定につながるのか調べることが重要です。

 

自社の強み

自社の強みは、競合との差別化を明確に示すために必要な軸です。たとえば、自社が保有する独自技術や特許を軸にすれば、技術面での優位性を測れます。あるいは顧客満足度やカスタマーサポートの対応速度といったサービスの質を軸にすれば、製品以外の面で差別化できているのかどうかを判断できます。

 

自社の強みを把握するには、以下の分析方法がオススメです。

 

  • ・SWOT分析:自社のStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)を洗い出して分析する方法
  • ・3C分析:Company(自社)・Customers(顧客)・Competitors(競合)それぞれの要素を書き出して分析する方法
  • ・VRIO分析:Value(価値)・Rarity(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織化)から経営資源を分析する方法

 

競合の強み

競合の強みは、自社の製品・サービスとの差別化ポイントの発見や競合への対抗策を検討するための軸です。たとえば、市場をリードする競合の主力製品がもつ特徴を軸にすれば、当該市場における「主流のニーズ」を基準にした場合の自社製品の置かれた位置が明らかになります。その結果、改善して正面から対抗するのか、あるいは別の領域で勝負するのかという戦略立案の方向性が決まってきます。

 

競合の強みを把握する際には、以下に挙げる方法がオススメです。

 

  • ・競合のWebサイトや製品情報の分析
  • ・公表されているマーケティング資料や決算資料の閲覧
  • ・業界レポートや専門家の意見の調査
  • ・ミステリーショッパー調査の実施
  • ・競合の顧客レビューの分析

 

ポジショニングマップを作成するメリット

ポジショニングマップマップの作成で以下のメリットを得られます。

 

  • ・今後のマーケティング戦略を視覚的にイメージできる
  • ・自社の魅力や優位性を整理できる
  • ・ブルーオーシャンを発見できる

 

今後のマーケティング戦略を視覚的にイメージできる

ポジショニングマップは、市場における自社の立ち位置を視覚的に把握できるため、今後どのようなマーケティング戦略を立案すればよいかの指標になります。新規事業を起こす際にも、ポジショニングマップによる既存市場の分析は、新製品の方向性を決める重要な判断材料にもなります。また、文章だけでは伝わりにくいマーケティングやプロモーションであっても構想を明確に示せるため、社内外への共有や理解が得やすいです。

 

自社の魅力や優位性を整理できる

自社製品やサービスの強みを客観的に評価し、整理する際にも役立ちます。さまざまな軸で自社と競合とを比較することで、自社のセールスポイントが明確になります。たとえば、「コストパフォーマンスが高い」「特定の用途に特化している」のようなセールスポイントを発見できれば、それらを押し出したマーケティング戦略を立てられるでしょう。すでにマーケティング戦略を立案しているのであれば、はたしてそれは適切なのか、セールスポイントとズレているのであれば、あらためて戦略を立て直すといったことも容易になります。

 

ブルーオーシャンを発見できる

ポジショニングマップの作成で、「ブルーオーシャン」を見つけられる可能性があります。ブルーオーシャンとは競合がいない未開拓の市場で、まったく新しい市場の開拓により他社と競合しない事業展開を可能とし、価格競争が起こりにくい特徴があります。またブルーオーシャンにおいて、自社の商品・サービスが唯一無二と認知され良好な購買体験を提供できれば、リピーターやファンの獲得に大きく貢献します。

 

ポジショニングマップを作るときの注意点

ポジショニングマップは非常に有用なマーケティング戦略のフレームワークですが、作成する際には以下のような注意点があります。

 

  • ・相関性の高い軸は避ける
  • ・ターゲットのKBFに合う軸を選ぶ
  • ・BtoB、BtoCで切り口を変えて軸を選ぶ

 

相関性の高い軸は避ける

相関性の高い軸の組み合わせは、有益な洞察が難しくなるため避けた方がよいでしょう。たとえば、製品の品質は価格に比例して高くなることが一般的です。「価格」と「品質」という軸の組み合わせは相関性が高く、片方の軸の程度が高くなれば、もう一方も高くなるため各社の独自性が見えません。一方、「価格」と「ブランド認知度」、「品質」と「デザイン性」といった独立性の高い基準を軸にすれば、マップ上の位置取りもばらつきが生まれ、各社の強みと弱みがわかりやすくなります。

 

ターゲットのKBFに合う軸を選ぶ

ターゲット顧客のKBFに合った軸を選び、顧客のニーズを明確にして、どの要素が購買決定に影響を与えているのかを特定することが重要です。たとえば、モバイルパソコンを軸にする場合、CPUの高速化が進んだ現在だと「CPU速度」はKBFになり得ない可能性があります。代わりに「バッテリー持続時間」「軽量性」などのほかの要素がKBFに合った軸の候補となります。

 

BtoBとBtoCでは切り口を変えて軸を選ぶ

BtoB(企業間取引)とBtoC(企業対消費者間取引)では、顧客の購買行動や意思決定プロセスが大きく異なります。そのためポジショニングマップの軸も、それぞれの特性に合わせた選択が必要です。たとえばBtoBでは、購買意思の決定は企業としての合理性や自社事業との相性などが重視されるため、コストパフォーマンスやセキュリティ性といった項目が軸となるでしょう。
一方、BtoCでは合理性よりも主観的な要素を重視する傾向にあるため、デザインやブランドイメージなどの項目が重要になります。
BtoBとBtoCとではセグメンテーションの切り口も異なります。消費者の場合は年齢や性別、職業や収入など、さまざまな切り口が用いられますが、企業であれば、事業規模や売上規模など切り口は限定的です。

 

まとめ
ポジショニングマップは、市場における自社製品・サービスの位置付けを把握するための便利な手法です。効果的なマーケティング戦略に大きく寄与するため、ぜひ作成してみてください。もし、自社では難しいと感じた場合はセラクCCCにご相談ください。
セラクCCCはSalesforceの認定パートナーとして最高位のExpert 認定を取得しており、定着・活用支援においてトップクラスの実績と豊富な人材(コンサルタント)を有しています。この豊富な実績から培ったノウハウを活かし、お客様のマーケティングを組織と人材の面から強力にサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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